ティーエスワン配合OD錠T25

添付文書番号

4229101F1026_1_06

企業コード

400107

作成又は改訂年月

2022年 3月改訂 ( 第1版 )

日本標準商品分類番号

874229

薬効分類名

代謝拮抗剤

承認等

ティーエスワン配合OD錠T25

販売名コード

YJコード

4229101F2022

販売名英語表記

TS-1 combination OD tablets

販売名ひらがな

てぃーえすわんはいごうおーでぃーじょうてぃー25

承認番号等

承認番号

22500AMX00076000

販売開始年月

2013年 6月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

36箇月

一般的名称

テガフール
ギメラシル
オテラシルカリウム

1. 警告

  1. 1.1 本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。適応患者の選択にあたっては、各併用薬剤の添付文書を参照して十分注意すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
  2. 1.2 本剤は従来の経口フルオロウラシル系薬剤とは投与制限毒性(Dose Limiting Toxicity、DLT)が骨髄抑制という点で異なり、特に臨床検査値に十分注意する必要がある。頻回に臨床検査を実施すること。[7.3 参照],[8.1 参照],[8.4 参照],[9.1.1 参照],[11.1.1 参照]
  3. 1.3 劇症肝炎等の重篤な肝障害が起こることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行い、肝障害の早期発見に努めること。肝障害の前兆又は自覚症状と考えられる食欲不振を伴う倦怠感等の発現に十分に注意し、黄疸(眼球黄染)があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。[7.3 参照],[8.4 参照],[11.1.3 参照]
  4. 1.4 他のフッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤、これらの薬剤との併用療法(ホリナート・テガフール・ウラシル療法等)、あるいは抗真菌剤フルシトシンとの併用により、重篤な血液障害等の副作用が発現するおそれがあるので、併用を行わないこと。[2.5 参照],[2.6 参照],[10.1 参照],[16.7 参照]

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
  2. 2.2 重篤な骨髄抑制のある患者[骨髄抑制が増強するおそれがある。]
  3. 2.3 重篤な腎障害のある患者[フルオロウラシルの異化代謝酵素阻害剤ギメラシルの腎排泄が著しく低下し、血中フルオロウラシル濃度が上昇し、骨髄抑制等の副作用が強くあらわれるおそれがある。][9.2.1 参照],[16.6.1 参照]
  4. 2.4 重篤な肝障害のある患者[肝障害が悪化するおそれがある。][9.3.1 参照]
  5. 2.5 他のフッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤(これらの薬剤との併用療法を含む)を投与中の患者[1.4 参照],[10.1 参照],[16.7 参照]
  6. 2.6 フルシトシンを投与中の患者[1.4 参照],[10.1 参照],[16.7 参照]
  7. 2.7 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5 参照]

3. 組成・性状

3.1 組成

ティーエスワン配合OD錠T25

有効成分 1錠中
テガフール 25mg
ギメラシル 7.25mg
オテラシルカリウム 24.5mg  
添加剤 乳糖水和物、結晶セルロース、クロスポビドン、部分アルファー化デンプン、アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、香料、黄色三二酸化鉄、黄色5号アルミニウムレーキ

3.2 製剤の性状

ティーエスワン配合OD錠T25

外形 表面
裏面
側面
識別コード TC43
性状 口腔内崩壊性の有核錠である。
片面の中央部が白色、他の部分がうすいだいだい色の錠剤であり、特異なにおいがある。
大きさ・質量 直径(mm) 8.0
厚み(mm) 3.9
質量(mg) 約182

4. 効能又は効果

胃癌、結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、手術不能又は再発乳癌、膵癌、胆道癌

5. 効能又は効果に関連する注意

  • 〈結腸・直腸癌、頭頸部癌、膵癌、胆道癌〉
    1. 5.1 術後補助化学療法として、本剤の有効性及び安全性は確立していない。
  • 〈非小細胞肺癌〉
    1. 5.2 術後補助化学療法として、本剤の有効性及び安全性は確立していない。
    2. 5.3 本剤単剤での使用については、有効性及び安全性は確立していない。
  • 〈手術不能又は再発乳癌〉
    1. 5.4 術前・術後補助化学療法として、本剤の有効性及び安全性は確立していない。
    2. 5.5 本剤の投与を行う場合には、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤及びタキサン系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の増悪若しくは再発例を対象とすること。
    3. 5.6 初回化学療法における本剤を含む他の抗悪性腫瘍剤との併用療法に関して、有効性及び安全性は確立していない。

6. 用法及び用量

通常、成人には初回投与量(1回量)を体表面積に合せて次の基準量とし、朝食後及び夕食後の1日2回、28日間連日経口投与し、その後14日間休薬する。これを1クールとして投与を繰り返す。

体表面積

初回基準量(テガフール相当量)

1.25m2未満

40mg/回

1.25m2以上~1.5m2未満

50mg/回

1.5m2以上

60mg/回

なお、患者の状態により適宜増減する。増減量の段階を40mg、50mg、60mg、75mg/回とする。増量は本剤の投与によると判断される臨床検査値異常(血液検査、肝・腎機能検査)及び消化器症状が発現せず、安全性に問題がなく、増量できると判断される場合に初回基準量から一段階までとし、75mg/回を限度とする。また、減量は通常、一段階ずつ行い、最低投与量は40mg/回とする。

7. 用法及び用量に関連する注意

  • 〈効能共通〉
    1. 7.1 通常、患者の状態に合わせて増減する場合、次の用量を参考とする。

      減量

      初回基準量

      増量

      休薬

      40mg/回

      50mg/回

      休薬←40mg/回

      50mg/回

      60mg/回

      休薬←40mg/回←50mg/回

      60mg/回

      75mg/回

      なお、増量する場合は1クール毎とし、一段階の増量にとどめること。

    2. 7.2 治療上やむを得ず休薬期間を短縮する必要がある場合には、本剤の投与によると判断される臨床検査値異常(血液検査、肝・腎機能検査)及び消化器症状が発現せず、安全性に問題がないことを確認した上で実施すること。ただし、その場合であっても少なくとも7日間の休薬期間を設けること。なお、手術不能又は再発乳癌においては休薬期間の短縮を行った場合の安全性は確立していない(使用経験はない)。
    3. 7.3 骨髄抑制、劇症肝炎等の重篤な副作用を回避するため、異常が認められた場合には休薬期間の延長、上記に準じた減量、投与中止等の適切な処置を行うこと。[1.2 参照],[1.3 参照],[8.1 参照],[8.4 参照],[9.1.1 参照],[11.1.1 参照],[11.1.3 参照],[17.1.1 参照]
    4. 7.4 基礎的検討(ラット)において空腹時投与ではオテラシルカリウムのバイオアベイラビリティが変化し、フルオロウラシルのリン酸化が抑制されて抗腫瘍効果の減弱が起こることが予想されるので食後投与とすること。
    5. 7.5 本剤と胸部又は腹部放射線療法との併用に関しては有効性及び安全性は確立していない。
  • 〈非小細胞肺癌〉
    1. 7.6 後期臨床第Ⅱ相試験(本剤21日間連日経口投与に、シスプラチン60mg/m2を第8日目に投与)で用いられた用法・用量以外の有効性及び安全性は確立していない。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 骨髄抑制に起因する重篤な感染症(敗血症等)から敗血症性ショックや播種性血管内凝固により死亡に至った症例が報告されているので、感染症・出血傾向の発現又は悪化に十分注意すること。[1.2 参照],[7.3 参照],[8.4 参照],[9.1.1 参照],[9.1.2 参照],[11.1.1 参照],[11.1.2 参照]
  2. 8.2 本剤の投与により間質性肺炎が発現又は増悪することがあり、死亡に至ることもあるので、投与に際しては間質性肺炎の有無等を確認し、投与中は呼吸状態、咳、発熱の有無等の臨床症状を十分に観察し、胸部X線検査等を行うこと。特に非小細胞肺癌では、間質性肺炎等肺障害が他の癌腫より発現しやすい。[9.1.4 参照],[11.1.6 参照]
  3. 8.3 本剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと。[9.1.7 参照],[11.1.3 参照]
  4. 8.4 骨髄抑制、劇症肝炎等の重篤な副作用を回避するために各クール開始前及び投与期間中は2週間に1回以上、臨床検査(血液検査、肝・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。特に1クール目及び増量時には頻回に臨床検査を実施すること。[1.2 参照],[1.3 参照],[7.3 参照],[8.1 参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 骨髄抑制のある患者(重篤な骨髄抑制のある患者は除く)

    骨髄抑制が増強するおそれがある。[1.2 参照],[7.3 参照],[8.1 参照],[11.1.1 参照]

  2. 9.1.2 感染症を合併している患者

    骨髄抑制により、感染症が悪化するおそれがある。[8.1 参照],[11.1.1 参照]

  3. 9.1.3 耐糖能異常のある患者

    耐糖能異常が悪化するおそれがある。

  4. 9.1.4 間質性肺炎又はその既往歴のある患者

    間質性肺炎が発現又は増悪するおそれがある。[8.2 参照],[11.1.6 参照]

  5. 9.1.5 心疾患又はその既往歴のある患者

    症状が悪化するおそれがある。[11.1.7 参照]

  6. 9.1.6 消化管潰瘍又は出血のある患者

    症状が悪化するおそれがある。[11.1.8 参照]

  7. 9.1.7 B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)

    肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。本剤が投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者において、B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されている。[8.3 参照],[11.1.3 参照]

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 重篤な腎障害のある患者

    投与しないこと。[2.3 参照],[9.2.2 参照]

  2. 9.2.2 腎障害のある患者(重篤な腎障害のある患者は除く)

    フルオロウラシルの異化代謝酵素阻害剤ギメラシルの腎排泄が低下し、血中フルオロウラシル濃度が上昇し、骨髄抑制等の副作用が強くあらわれるおそれがある。[9.2.1 参照],[16.6.1 参照],[17.2.1 参照]

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 重篤な肝障害のある患者

    投与しないこと。[2.4 参照],[9.3.2 参照]

  2. 9.3.2 肝障害のある患者(重篤な肝障害のある患者は除く)

    肝障害が悪化するおそれがある。[9.3.1 参照]

9.4 生殖能を有する者

小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には性腺に対する影響を考慮すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。テガフール・ウラシルを投与された女性において奇形を有する児を出産したとの報告がある。また、動物実験で催奇形作用の報告(妊娠ラット及びウサギ(テガフール相当量7mg/kg、1.5mg/kg)の連日経口投与で胎児の内臓異常、骨格異常、化骨遅延等が認められている)がある。[2.7 参照]

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行したとの報告がある。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

10. 相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤
フルオロウラシル

  • (5-FU等)

テガフール・ウラシル配合剤

  • (ユーエフティ等)

テガフール

  • (フトラフール等)

ドキシフルリジン

  • (フルツロン)

カペシタビン

  • (ゼローダ)

[1.4 参照],[2.5 参照],[16.7 参照]

併用により早期に重篤な血液障害や下痢、口内炎等の消化管障害等が発現するおそれがある。なお、本剤投与中止後においても少なくとも7日間はこれらの薬剤(療法)を投与しないこと。また、これらの薬剤の投与中止後に本剤を投与する場合にはこれらの薬剤の影響を考慮し、適切な間隔をあけてから本剤の投与を開始すること。

本剤中のギメラシルにより、併用されたフルオロウラシルあるいは併用されたこれらフッ化ピリミジンから生成されたフルオロウラシルの異化代謝が阻害され、著しく血中フルオロウラシル濃度が上昇する。

ホリナート・テガフール・ウラシル療法

  • (ユーゼル・ユーエフティ等)

レボホリナート・フルオロウラシル療法

  • (アイソボリン・5-FU等)

[1.4 参照],[2.5 参照],[16.7 参照]

併用により早期に重篤な血液障害や下痢、口内炎等の消化管障害等が発現するおそれがある。なお、本剤投与中止後においても少なくとも7日間はこれらの薬剤(療法)を投与しないこと。また、これらの薬剤の投与中止後に本剤を投与する場合にはこれらの薬剤の影響を考慮し、適切な間隔をあけてから本剤の投与を開始すること。

本剤中のギメラシルにより、併用されたフルオロウラシルあるいは併用されたこれらフッ化ピリミジンから生成されたフルオロウラシルの異化代謝が阻害され、著しく血中フルオロウラシル濃度が上昇する。

フッ化ピリミジン系抗真菌剤
フルシトシン

  • (アンコチル)

[1.4 参照],[2.6 参照],[16.7 参照]

併用により早期に重篤な血液障害や下痢、口内炎等の消化管障害等が発現するおそれがある。なお、本剤投与中止後においても少なくとも7日間はこれらの薬剤(療法)を投与しないこと。また、これらの薬剤の投与中止後に本剤を投与する場合にはこれらの薬剤の影響を考慮し、適切な間隔をあけてから本剤の投与を開始すること。

本剤中のギメラシルにより、併用されたフルオロウラシルあるいは併用されたこれらフッ化ピリミジンから生成されたフルオロウラシルの異化代謝が阻害され、著しく血中フルオロウラシル濃度が上昇する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

フェニトイン

フェニトイン中毒(嘔気・嘔吐、眼振、運動障害等)が発現することがあるので、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

テガフールによってフェニトインの代謝が抑制され、フェニトインの血中濃度が上昇する。

ワルファリンカリウム

ワルファリンカリウムの作用を増強することがあるので、凝固能の変動に注意すること。

機序は不明である。

トリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合剤

重篤な骨髄抑制等の副作用が発現するおそれがある。

本剤との併用により、トリフルリジンのDNA取り込みが増加する可能性がある。チピラシル塩酸塩がチミジンホスホリラーゼを阻害することにより、本剤の代謝に影響を及ぼす可能性がある。

他の抗悪性腫瘍剤、放射線照射等

血液障害、消化管障害等の副作用が増強することがあるので、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。

副作用が相互に増強される。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 骨髄抑制、溶血性貧血

    汎血球減少、無顆粒球症(症状:発熱、咽頭痛、倦怠感等)(いずれも頻度不明)、白血球減少(46.7%)、貧血(頻度不明)、血小板減少(15.7%)等の重篤な骨髄抑制、溶血性貧血(頻度不明)があらわれることがある。[1.2 参照],[7.3 参照],[8.1 参照],[9.1.1 参照],[9.1.2 参照]

  2. 11.1.2 播種性血管内凝固症候群(DIC)(0.4%)

    血小板数、血清FDP値、血漿フィブリノゲン濃度等の血液検査に異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.1 参照]

  3. 11.1.3 劇症肝炎等の重篤な肝障害

    劇症肝炎等の重篤な肝障害(B型肝炎ウイルスの再活性化によるものを含む)(頻度不明)があらわれることがある。[1.3 参照],[7.3 参照],[8.3 参照],[9.1.7 参照]

  4. 11.1.4 脱水症状

    激しい下痢があらわれ、脱水症状(頻度不明)まで至ることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、補液等の適切な処置を行うこと。

  5. 11.1.5 重篤な腸炎(0.5%)

    出血性腸炎、虚血性腸炎、壊死性腸炎等があらわれることがあるので、激しい腹痛・下痢等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  6. 11.1.6 間質性肺炎

    間質性肺炎(0.3%)1) (初期症状:咳嗽、息切れ、呼吸困難、発熱等)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、胸部X線等の検査を行い、ステロイド治療等の適切な処置を行うこと。[8.2 参照],[9.1.4 参照]

  7. 11.1.7 心筋梗塞、狭心症、不整脈、心不全

    心筋梗塞、狭心症、不整脈(心室頻拍等を含む)、心不全(いずれも頻度不明)があらわれることがあるので、胸痛、失神、動悸、心電図異常、息切れ等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[9.1.5 参照]

  8. 11.1.8 重篤な口内炎(頻度不明)、消化管潰瘍(0.5%)、消化管出血(0.3%)、消化管穿孔(頻度不明)

    異常が認められた場合には投与を中止し、腹部X線等の必要な検査を行い、適切な処置を行うこと。[9.1.6 参照]

  9. 11.1.9 急性腎障害、ネフローゼ症候群(頻度不明)
  10. 11.1.10 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)
  11. 11.1.11 白質脳症等を含む精神神経障害

    白質脳症(意識障害、小脳失調、認知症様症状等を主症状とする)や意識障害、失見当識、傾眠、記憶力低下、錐体外路症状、言語障害、四肢麻痺、歩行障害、尿失禁、知覚障害(いずれも頻度不明)等があらわれることがある。

  12. 11.1.12 急性膵炎(頻度不明)

    腹痛、血清アミラーゼ値の上昇等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  13. 11.1.13 横紋筋融解症

    筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症(頻度不明)があらわれることがある。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。

  14. 11.1.14 嗅覚脱失

    嗅覚障害(0.1%)があらわれ、嗅覚脱失(頻度不明)まで至ることがある。

  15. 11.1.15 涙道閉塞(頻度不明)

    外科的処置に至った例が報告されている。流涙等の症状があらわれた場合には、眼科的検査を実施するなど適切な処置を行うこと。

  16. 11.1.16 肝硬変(プロトロンビン時間延長、アルブミン低下、コリンエステラーゼ低下等)(頻度不明)

11.2 その他の副作用

5%以上

0.1~5%未満

頻度不明

血液

白血球減少、好中球減少、血小板減少、赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット値減少、リンパ球減少

出血傾向(皮下出血斑、鼻出血、凝固因子異常)、好酸球増多、白血球増多

肝臓

AST上昇、ALT上昇、ビリルビン上昇、Al-P上昇

黄疸、尿ウロビリノーゲン陽性

腎臓

BUN上昇、クレアチニン上昇、蛋白尿、血尿

消化器

食欲不振、悪心・嘔吐、下痢、口内炎、味覚異常

腸管閉塞、イレウス、腹痛、腹部膨満感、心窩部痛、胃炎、腹鳴、白色便、便秘、口角炎、口唇炎、舌炎、口渇

皮膚

色素沈着

紅斑、落屑、潮紅、水疱、手足症候群2) 、皮膚潰瘍、皮膚炎、脱毛、爪の異常、爪囲炎、単純疱疹、皮膚の乾燥・荒れ

光線過敏症、DLE様皮疹

過敏症

発疹

そう痒

精神神経系

全身倦怠感

しびれ、頭痛、頭重感、めまい

ふらつき、末梢性ニューロパチー

循環器

血圧低下、血圧上昇、心電図異常、レイノー症状

動悸

流涙3) 、結膜炎、角膜炎、角膜びらん、眼痛、視力低下、眼乾燥

角膜潰瘍、角膜混濁、輪部幹細胞欠乏

その他

LDH上昇、総蛋白減少、アルブミン低下

発熱、全身熱感、鼻炎、咽頭炎、痰、糖尿、血糖値上昇、浮腫、筋肉痛、CK上昇、関節痛、電解質異常(血清ナトリウム上昇、血清ナトリウム低下、血清カリウム上昇、血清カリウム低下、血清カルシウム上昇、血清カルシウム低下、血清クロール上昇、血清クロール低下)、体重減少

血清アミラーゼ値上昇

発現頻度は承認時までの単独投与による臨床試験から算出した。
1) 製造販売後調査において実施した非小細胞肺癌使用成績調査では間質性肺炎は0.7%(11/1669例)、放射線性肺臓炎・呼吸困難・呼吸不全等の肺障害は0.7%(12/1669例)であった。
2) 前治療有乳癌においては、手足症候群21.8%と副作用発現率が高かった。
3) 製造販売後に実施した切除不能又は再発胃癌症例を対象とした臨床試験のTS-1単独投与においては、流涙16.0%と副作用発現率が高かった。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意

  1. 14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
  2. 14.1.2 本剤は舌の上にのせて唾液を浸潤させると崩壊するため、水なしで服用可能である。また、水で服用することもできる。
  3. 14.1.3 本剤は寝たままの状態では、水なしで服用させないこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

  1. 15.1.1 本剤を投与した患者に、急性白血病(前白血病相を伴う場合もある)、骨髄異形成症候群(MDS)が発生したとの報告がある。
  2. 15.1.2 フルオロウラシルの異化代謝酵素であるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)欠損等の患者がごくまれに存在し、このような患者にフルオロウラシル系薬剤を投与した場合、投与初期に重篤な副作用(口内炎、下痢、血液障害、神経障害等)が発現するとの報告がある。
  3. 15.1.3 本剤との因果関係は不明であるが、脳梗塞がみられたとの報告がある。

15.2 非臨床試験に基づく情報

  1. 15.2.1 オテラシルカリウムは過酸状態で分解されやすく(イヌ)、オテラシルカリウムの配合量が少ない場合に消化器毒性軽減効果が減弱する(ラット)ことから、高度の胃内pH低下により下痢が発現しやすくなる可能性が報告されている。
  2. 15.2.2 イヌに反復投与した場合に眼球結膜・強膜の色素沈着、角膜の白濁が起こることが報告されている。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与
    1. (1) ティーエスワン(TS-1)を癌患者12名に32~40mg/m2で食後経口投与した後の血漿中濃度から求めた、テガフール(FT)、ギメラシル(CDHP)、オテラシルカリウム(Oxo)及び代謝物であるフルオロウラシル(5-FU)、シアヌル酸(CA)の薬物動態パラメータを表に示す1)

      Cmax
      (ng/mL)

      Tmax
      (hr)

      AUC(0-48hr)
      (ng・hr/mL)

      T1/2
      (hr)

      FT

      1971.0±269.0

      2.4±1.2

      28216.9±7771.4

      13.1±3.1

      5-FU

      128.5±41.5

      3.5±1.7

      723.9±272.7

      1.9±0.4

      CDHP

      284.6±116.6

      2.1±1.2

      1372.2±573.7

      3.0±0.5

      Oxo

      78.0±58.2

      2.3±1.1

      365.7±248.6

      3.0±1.4

      CA

      117.9±184.4

      3.4±1.0

      892.0±1711.7

      3.8±1.6

      (n=12,mean±S.D.)

    2. (2) TS-1を癌患者に25~200mg/body経口投与1) した後のFT、CDHP、Oxo及び5-FUのAUC、Cmaxはほぼ用量に依存して上昇した2)
    3. (3) 癌患者にTS-1のOD錠(水なし又は水ありで服用)とカプセル(水で服用)を空腹時に、各々40mg(20mg×2)で経口投与した場合、両製剤は生物学的に同等であることが確認された。

      薬剤・投与法

      5-FU

      Cmax
      (ng/mL)

      AUC(0-48hr)
      (ng・hr/mL)

      OD錠、水あり(Ⅰ群)

      101.8

      573.4

      OD錠、水なし(Ⅱ群)

      116.3

      684.8

      カプセル(Ⅰ群/Ⅱ群)a

      106.4/112.1

      594.2/642.4

      a:Ⅰ群、Ⅱ群ともに水で服用。

  2. 16.1.2 反復投与

    TS-1を癌患者10名に32~40mg/m2で1日2回28日間連日投与した時の1、7、14、28日の血漿中濃度を測定した結果、速やかに定常状態に達した。また、連日投与後においても内因性のウラシル(Ura)の減少は速やかであり、CDHPによるDPD阻害は可逆的で、増強作用を示さなかった1)

16.3 分布

各配合成分及び5-FUのヒト血清での蛋白結合率はFT 49~56%、CDHP 32~33%、Oxo 7~10%、5-FU 17~20%であった3) in vitro)。

16.4 代謝

FTから5-FUへの代謝に関与するヒト肝ミクロゾームのチトクロームP450の分子種としてCYP2A6が主であるとの報告がある4) in vitro)。

16.5 排泄

TS-1を癌患者12名に32~40mg/m2で食後単回経口投与した時、尿中には72時間までに投与量に対しCDHP 52.8%、FT 7.8%、Oxo 2.2%、CA 11.4%、5-FU 7.4%が排泄された1)

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 腎機能障害患者
    1. (1) 薬物動態が詳細に検討された臨床試験症例(臨床薬理試験、膵癌、胆道癌)について、投与前血清クレアチニン値、性別、年齢及び体重からCockcroft-Gault式2) を用いて算出したクレアチニンクリアランス値(Ccr推定値)に基づき腎機能が正常と判断される患者群と軽度腎機能障害と判断される患者群に分けて、それぞれのAUCを示す5) [2.3 参照],[9.2.2 参照]

      (Ccr推定値)

      AUC(0-8hr)

      >80mL/min

      50-80mL/min

      FT

      10060±1842

      11320±2717

      5-FU

      541.2±174.8

      812.4±244.9

      CDHP

      977.8±327.9

      1278.0±306.6

      Oxo

      155.7±97.5

      458.2±239.7

      (n=17(Ccr:>80mL/min),n=11(Ccr:50-80mL/min),mean±S.D.)

    2. (2) 腎障害モデル(ウサギ)にTS-1を投与した場合、腎排泄型であるCDHPのクリアランスが低下し、5-FUの血中濃度の著明な上昇を示した6) [2.3 参照],[9.2.2 参照]

16.7 薬物相互作用

TS-1単独あるいは他のフッ化ピリミジン系薬剤併用7日間反復経口投与(ラット)の最終投与2時間後の血漿中5-FU濃度を測定した結果、単独投与に比較して5-FU 4.1倍、FT 8.1倍、FT・Ura 2.8倍、ドキシフルリジン6.9倍及びフルシトシン2.3倍の濃度を示した7) [1.4 参照],[2.5 参照],[2.6 参照],[10.1 参照]

1) 本剤の承認最大用量は、75mg/回である。
2) Cockcroft-Gault式
Ccr推定値=((140-年齢)×体重(kg))/(72×血清クレアチニン(mg/dL))
(女性の場合はさらに得られた値を0.85倍する)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  • 〈効能共通〉
    1. 17.1.1 国内臨床試験(単独投与)

      TS-1(FT 80~150mg相当量/日)、1日2回分割経口投与による臨床成績を集計した結果、奏効率は胃癌46.5%(60/129例)、結腸・直腸癌32.6%(42/129例)、頭頸部癌34.1%(29/85例)、非小細胞肺癌(未治療例)18.2%(18/99例)、手術不能又は再発乳癌21.8%(12/55例)、膵癌32.2%(19/59例)、胆道癌(乳頭部癌、胆嚢癌及び肝外胆管癌の化学療法未治療例)30.5%(18/59例)であった8) ,9) ,10) ,11) ,12) ,13) ,14) ,15) ,16) ,17) ,18) ,19) ,20) ,21) 。なお、非小細胞肺癌の前期臨床第Ⅱ相試験における既治療例16例(化学療法は9例、その他は手術あるいは放射線治療)では奏効例は認められなかった。

      単独投与による臨床試験(下記の前治療有乳癌症例、膵癌症例及び胆道癌症例を除く)において、副作用評価可能症例は578例であり、副作用発現率は87.2%(504例)であった。また、前治療(タキサン系抗悪性腫瘍剤)を有する手術不能又は再発乳癌(前治療有乳癌と略す)、膵癌及び胆道癌では、副作用発現率がそれぞれ96.4%、98.3%及び94.9%と他の癌腫に比較して高かった。また、膵癌では重度の発現率も高く、特に食欲不振・悪心・嘔吐・下痢等の胃腸障害で顕著であった。
      臨床上重要と考えられる副作用は次のとおりであった。(カプセルの効能追加時)

      副作用

      単独投与時発現率

      全体a
      (578例)

      前治療有乳癌
      (55例)

      膵癌
      (59例)

      胆道癌
      (59例)

      副作用発現率
      (グレード3以上)b

      87.2%
      (22.5%)

      96.4%
      (30.9%)

      98.3%
      (42.4%)

      94.9%
      (30.5%)

      白血球減少
      (2000/mm3未満)

      45.8%
      (2.8%)

      69.1%
      (9.1%)

      32.2%
      (0%)

      49.2%
      (3.4%)

      好中球減少
      (1000/mm3未満)

      43.9%
      (8.5%)

      72.7%
      (10.9%)

      27.1%
      (6.8%)

      42.4%
      (5.1%)

      ヘモグロビン減少
      (8g/dL未満)

      38.1%
      (5.7%)

      45.5%
      (3.6%)

      50.8%
      (5.1%)

      50.8%
      (6.8%)

      血小板減少
      (5×104/mm3未満)

      10.9%
      (1.6%)

      38.2%
      (1.8%)

      33.9%
      (1.7%)

      23.7%
      (0%)

      AST上昇

      11.1%

      34.5%

      18.6%

      37.3%

      ALT上昇

      11.1%

      29.1%

      16.9%

      27.1%

      食欲不振
      (グレード3以上)

      33.9%
      (3.5%)

      54.5%
      (5.5%)

      61.0%
      (13.6%)

      33.9%
      (6.8%)

      悪心
      (グレード3以上)

      22.3%
      (0%)

      47.3%
      (0%)

      55.9%
      (10.2%)

      32.2%
      (3.4%)

      嘔吐
      (グレード3以上)

      7.8%
      (0.5%)

      30.9%
      (0%)

      35.6%
      (5.1%)

      20.3%
      (1.7%)

      下痢
      (グレード3以上)

      18.7%
      (2.9%)

      38.2%
      (5.5%)

      37.3%
      (6.8%)

      22.0%
      (1.7%)

      全身倦怠感c

      22.3%

      47.3%

      47.5%

      35.6%

      口内炎

      17.1%

      41.8%

      25.4%

      27.1%

      色素沈着

      21.3%

      47.3%

      39.0%

      42.4%

      発疹

      11.8%

      16.4%

      22.0%

      22.0%

      a:前治療有乳癌症例、膵癌症例及び胆道癌症例を除く
      b:グレード分類は、NCI-CTCあるいは日本癌治療学会基準で集計
      c:疲労を含む


      本剤の投与において重要と考えられた副作用について、胃癌、結腸・直腸癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌(単独投与)、手術不能又は再発乳癌、膵癌及び胆道癌の後期臨床第Ⅱ相試験の453例を対象として副作用の発現時期に関する解析を行った結果、次のごとくであった。[7.3 参照]
      白血球数3000/mm3未満、ヘモグロビン8g/dL未満又は血小板数7.5×104/mm3未満の基準に至った中で最も低下した臨床検査異常値において、当該クール開始から最低値に至るまでの期間を検討した結果、それぞれの中央値は27日、25日、24日であった。
      一方、そのうち上記基準以上へ回復したことを確認できた症例の最低値から回復までの期間を検討した結果、それぞれの中央値は7日、5.5日、6日であった。

      臨床検査項目

      発現
      例数

      最低値までの期間:
      中央値(範囲)

      回復確認
      例数

      回復までの期間:
      中央値(範囲)

      白血球減少

      92例

      27日(4~43日)

      85例

      7日(1~93日)

      ヘモグロビン減少

      29例

      25日(5~43日)

      24例

      5.5日(1~21日)

      血小板減少

      28例

      24日(9~51日)

      25例

      6日(1~46日)

      また、臨床所見において薬剤との関連性を重視し、副作用と判定された下痢、発疹、口内炎で初回投与開始から初発までの期間を検討した結果、それぞれの中央値は24.5日、21日、28日であった。 
       一方、各症状の最高グレードから消失までの期間を検討した結果、それぞれの中央値は9日、14日、13.5日であった。

      臨床所見

      発現
      例数

      初発までの期間:
      中央値(範囲)

      回復確認
      例数

      消失までの期間:
      中央値(範囲)

      下痢

      100例

      24.5日(2~189日)

      95例

      9日(1~62日)

      発疹

      67例

      21日(2~248日)

      63例

      14日(2~254日)

      口内炎

      100例

      28日(3~262日)

      94例

      13.5日(2~99日)

  • 〈非小細胞肺癌〉
    1. 17.1.2 国内第Ⅱ相試験(併用投与)

      非小細胞肺癌(未治療例)に対する後期臨床第Ⅱ相試験として行った併用試験(本剤21日間連日経口投与に、シスプラチン60mg/m2を第8日目に投与)における臨床成績を集計した結果、奏効率は47.3%(26/55例)であった22)
      副作用評価可能症例は55例であり、全例に何らかの副作用が発現した。
      臨床上重要と考えられる副作用は次のとおりであった。(カプセルの効能追加時)

      副作用

      併用投与時発現率

      非小細胞肺癌(55例)

      副作用発現率(グレード3以上)a

      100.0%(61.8%)

      白血球減少(2000/mm3未満)

      52.7%(5.5%)

      好中球減少(1000/mm3未満)

      65.5%(29.1%)

      ヘモグロビン減少(8g/dL未満)

      90.9%(21.8%)

      血小板減少(5×104/mm3未満)

      60.0%(1.8%)

      AST上昇

      14.5%

      ALT上昇

      14.5%

      食欲不振(グレード3以上)

      78.2%(12.7%)

      悪心(グレード3以上)

      65.5%(10.9%)

      嘔吐(グレード3以上)

      38.2%(7.3%)

      下痢(グレード3以上)

      34.5%(7.3%)

      口内炎

      25.5%

      色素沈着

      23.6%

      発疹

      9.1%

      a:グレード分類は、NCI-CTCで集計

  • 〈胃癌〉
    1. 17.1.3 国内第Ⅲ相試験(術後補助化学療法)

      Stage Ⅱ、Ⅲの胃癌治癒切除症例を対象とし、TS-1投与(手術後1年間)群(529例)と手術単独群(530例)を比較検討した結果(観察期間の中央値:手術後3.0年)、生存期間のハザード比は0.675(95%信頼区間:0.523-0.871、ログランク検定p=0.0024)で、TS-1投与群は手術単独群と比較して死亡リスクを32%低下させた。手術後3年の生存率は、手術単独群70.1%、TS-1投与群80.5%であった。また、無再発生存期間のハザード比は0.622(95%信頼区間:0.501-0.772、ログランク検定p<0.0001)で、TS-1投与群は手術単独群と比較して再発リスクを38%低下させた。3年無再発生存率は、手術単独群60.1%、TS-1投与群72.2%であった。
      なお、割付後の3年生存率は、手術単独群70.1%、TS-1投与群80.1%であり、3年無再発生存率は手術単独群59.6%、TS-1投与群72.2%であった23)  。

17.2 製造販売後調査等

  1. 17.2.1 腎障害時の副作用

    胃癌を対象とした製造販売後調査において、投与前血清クレアチニン値、性別、年齢及び体重からCockcroft-Gault式を用いて算出したクレアチニンクリアランス値(Ccr推定値)別に副作用発現率を集計した結果、Ccr推定値低値症例ほど副作用発現率が高く、かつその程度が重度化していた。また、減量(主に1段階)して投与を開始した症例においては、基準量投与開始例に比し副作用発現率が低下していた。[9.2.2 参照]

    Ccr推定値
    (mL/min)

    基準量投与開始症例

    減量投与開始症例

    副作用
    発現率

    高度
    (Grade3)以上
    副作用
    発現率

    副作用
    発現率

    高度
    (Grade3)以上
    副作用
    発現率

    80≦

    79.2%
    (835/1054)

    26.8%
    (282/1054)

    70.7%
    (224/317)

    24.3%
    (77/317)

    50≦ <80

    80.8%
    (1087/1345)

    32.3%
    (434/1345)

    71.7%
    (309/431)

    26.0%
    (112/431)

    30≦ <50

    87.4%
    (319/365)

    42.5%
    (155/365)

    79.9%
    (123/154)

    33.8%
    (52/154)

       <30

    90.0%
    (18/20)

    75.0%
    (15/20)

    82.4%
    (14/17)

    47.1%
    (8/17)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

TS-1はFT、CDHP及びOxoの三成分を含有する製剤であり、経口投与後の抗腫瘍効果は体内でFTから徐々に変換される5-FUに基づいている。
CDHPは主として肝に多く分布する5-FU異化代謝酵素のDPDを選択的に拮抗阻害することによって、FTより派生する5-FU濃度を上昇させる。この生体内5-FU濃度の上昇に伴って、腫瘍内では5-FUのリン酸化代謝物である5-フルオロヌクレオチドが高濃度持続し、抗腫瘍効果が増強する。また、Oxoは経口投与により主として消化管組織に分布してorotate phosphoribosyltransferaseを選択的に拮抗阻害し、5-FUから5-フルオロヌクレオチドへの生成を選択的に抑制する。その結果TS-1投与により5-FUの強い抗腫瘍効果を損なうことなく消化器毒性が軽減されると考えられている。
5-FUの作用機序は主として活性代謝物であるFdUMPがdUMPと拮抗し、thymidylate synthase及び還元葉酸とternary complexを形成することによるDNA生合成阻害による。また、FUTPに変換されてRNA機能を障害するともいわれている24) ,25) ,26) ,27) ,28)

18.2 抗腫瘍効果

吉田肉腫、腹水肝癌AH-130、佐藤肺癌(ラット)及びSarcoma-180、ルイス肺癌、Colon26(マウス)等の各種皮下移植腫瘍、また、ヒト胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、膵癌、腎癌皮下移植腫瘍(ヌードラットあるいはヌードマウス)に対し、腫瘍増殖抑制効果を示した。また、ルイス肺癌の肺転移モデル及びL5178Yの肝転移モデル(マウス)において延命効果を示し、さらにヒト胃癌及び大腸癌株を同所再建したモデル(ヌードラット)においてもTS-1は腫瘍増殖抑制効果を示した29) ,30) ,31)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1 テガフール

一般的名称

テガフール(Tegafur)

化学名

5-Fluoro-1-[(2RS)-tetrahydrofuran-2-yl]uracil

分子式

C8H9FN2O3

分子量

200.17

性状

白色の結晶性の粉末である。メタノールにやや溶けやすく、水又はエタノール(95)にやや溶けにくい。希水酸化ナトリウム試液に溶ける。メタノール溶液(1→50)は旋光性を示さない。結晶多形が認められる。

化学構造式

融点

166~171℃

19.2 ギメラシル

一般的名称

ギメラシル(Gimeracil)

化学名

5-Chloro-2,4-dihydroxypyridine

分子式

C5H4ClNO2

分子量

145.54

性状

白色の結晶性の粉末である。水酸化ナトリウム試液又はN,N-ジメチルホルムアミドにやや溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水に極めて溶けにくい。

化学構造式

融点

約262℃(分解)

19.3 オテラシルカリウム

一般的名称

オテラシルカリウム(Oteracil Potassium)

化学名

Monopotassium 1,2,3,4-tetrahydro-2,4-dioxo-1,3,5-triazine-6-carboxylate

分子式

C4H2KN3O4

分子量

195.17

性状

白色の結晶性の粉末である。pH8.0リン酸塩緩衝液又は水に溶けにくく、エタノール(99.5)又はメタノールにほとんど溶けない。

化学構造式

融点

300℃以上

20. 取扱い上の注意

開封後は湿気を避けて保存すること。

22. 包装

  • 〈ティーエスワン配合OD錠T20〉

    PTP包装(乾燥剤入り):56錠(14錠×2×2)、140錠(14錠×2×5)

  • 〈ティーエスワン配合OD錠T25〉

    PTP包装(乾燥剤入り):56錠(14錠×2×2)、140錠(14錠×2×5)

23. 主要文献

1) Hirata, K. et al. : Clin. Cancer Res. 1999 ; 5(8): 2000-2005

2) 田口鐵男 他 : 癌と化学療法. 1997 ; 24(15): 2253-2264

3) 増田啓年 他 : 薬物動態. 1997 ; 12(4): 301-321

4) Ikeda, K. et al. : Clin. Cancer Res. 2000 ; 6(11): 4409-4415

5) 池田和正 : S-1の正常及び軽度腎機能低下患者での薬物動態パラメータの比較,社内資料,研究報告書No.253

6) 池田和正 他 : 腎障害モデルにおけるS-1動態変化の検討,社内資料,研究報告書No.138

7) 吉末訓弘 他 : 新規抗悪性腫瘍薬S-1のソリブジンあるいはその他の5-FU系薬剤との相互作用に関する検討,社内資料,研究報告書No.135

8) Sugimachi, K. et al. : Oncology. 1999 ; 57(3): 202-210

9) Sakata, Y. et al. : Eur. J. Cancer. 1998 ; 34(11): 1715-1720

10) Koizumi, W. et al. : Oncology. 2000 ; 58(3): 191-197

11) Ohtsu, A. et al. : Br. J. Cancer. 2000 ; 83(2): 141-145

12) Shirao, K. et al. : Cancer. 2004 ; 100(11): 2355-2361

13) 犬山征夫 他 : 癌と化学療法. 1998 ; 25(8): 1151-1158

14) 犬山征夫 他 : 癌と化学療法. 2001 ; 28(10): 1381-1390

15) Furuse, K. et al. : Int. J. Clin. Oncol. 2001 ; 6(5): 236-241

16) Kawahara, M. et al. : Br. J. Cancer. 2001 ; 85(7): 939-943

17) 転移性乳癌患者を対象としたTaxane系抗悪性腫瘍剤無効例に対するS-1後期臨床第Ⅱ相試験,社内資料,研究報告書No.235

18) Ueno, H. et al. : Oncology. 2005 ; 68(2-3): 171-178

19) Okusaka, T. et al. : Cancer Chemother. Pharmacol. 2008 ; 61(4): 615-621

20) Ueno, H. et al. : Br. J. Cancer. 2004 ; 91(10): 1769-1774

21) Furuse, J. et al. : Cancer Chemother. Pharmacol. 2008 ; 62(5): 849-855

22) Ichinose, Y. et al. : Clin. Cancer Res. 2004 ; 10(23): 7860-7864

23) Sakuramoto, S. et al. : N. Engl. J. Med. 2007 ; 357(18): 1810-1820

24) Shirasaka, T. et al. : Anti-Cancer Drugs. 1996 ; 7(5): 548-557

25) Tatsumi, K. et al. : Jpn. J. Cancer Res. 1987 ; 78(7): 748-755

26) Shirasaka, T. et al. : Cancer Res. 1993 ; 53(17): 4004-4009

27) Spears, C.P. et al. : Cancer Res. 1984 ; 44(9): 4144-4150

28) Wilkinson, D.S. et al. : Cancer Res. 1975 ; 35(11): 3014-3020

29) Takechi, T. et al. : Cancer Chemother. Pharmacol. 1997 ; 39(3): 205-211

30) Shirasaka, T. et al. : Cancer Res. 1996 ; 56(11): 2602-2606

31) Fukushima, M. et al. : Int. J. Oncol. 1998 ; 13 : 693-698

24. 文献請求先及び問い合わせ先

大鵬薬品工業株式会社 医薬品情報課

〒101-8444 東京都千代田区神田錦町1-27

TEL 0120-20-4527

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

大鵬薬品工業株式会社

東京都千代田区神田錦町1-27