2020年 10月改訂 ( 第1版 ) |
処方箋医薬品 注)
注) 注意―医師等の処方箋により使用すること通常、成人及び小児に対して1回1滴、1日3回点眼する。
なお、疾患、症状により適宜増量する。
本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
原則として配合変化が認められる点眼液との併用は避けること。
主な点眼液との配合変化(本剤1mLと配合薬剤1mLをガラス管に入れ、ミキサーで10秒間混合し、外観変化を観察)は下表のとおりであった1)
,2)
,3)
。
配合変化あり*1 |
リンデロン点眼・点耳・点鼻液0.1%、ニフラン点眼液0.1%、ジクロード点眼液0.1%、ブロナック点眼液0.1%、点眼・点鼻用リンデロンA液、リザベン点眼液0.5%、インタール点眼液2%、タチオン点眼用2%、ミドリンM点眼液0.4%、キサラタン点眼液0.005%、チモプトール点眼液0.25%、チモプトールXE点眼液0.5%、トルソプト点眼液1%、ミケラン点眼液2%、リズモンTG点眼液0.5%、フラビタン点眼液0.05%、レスキュラ点眼液0.12%*2 |
*1:混合直後または室温で1時間放置後に外観変化(白濁)が認められたもの。白濁は、本剤の溶解機構であるトスフロキサシンとアルミニウムイオンのキレート平衡が、他の点眼液中のエデト酸、クエン酸、リン酸などにより影響をうけ、有効成分が析出するためと推測された。
*2:本剤2mLと配合薬剤2mLをガラス管に入れ、ミキサーで10秒間混合し、外観変化を観察
健康成人眼に本剤を1回1滴、1日3回14日間点眼したとき、最終点眼1.5時間後の血清中トスフロキサシン濃度は定量限界(<0.0347μg/mL)以下であった。また、健康成人眼に本剤を1回1滴、1日8回14日間点眼したとき、点眼14日目の初回点眼24時間後の血清中トスフロキサシン濃度は定量限界(<0.0347μg/mL)以下であった6) 。
健康成人眼に本剤を1回1滴、1日8回14日間点眼したとき、点眼14日目の初回点眼24時間後の結膜嚢内濃度は2.0μg/mLであった6) 。
有色ウサギに本剤を1回40μL点眼したときの結膜嚢内トスフロキサシン濃度は、点眼5分後で168μg/mL、4時間後では3.31μg/mLであり、6時間後では0.670μg/mLであった7) 。
有色ウサギに14C標識トスフロキサシントシル酸塩水和物点眼液0.3%を1回40μL点眼したとき、点眼1時間後には硝子体を除く各眼組織に広く分布し、放射能濃度は、眼瞼結膜で436ng eq./g、眼球結膜で128ng eq./g、前房水で89.3ng eq./mL及び角膜で1,800ng eq./gを示した。また、メラニン含有組織である虹彩・毛様体及び脈絡膜・網膜は1時間後でそれぞれ421ng eq./g及び249ng eq./g、24時間後ではそれぞれ3,250ng eq./g及び759ng eq./gを示した7)
。
ビーグル犬に14C標識トスフロキサシントシル酸塩水和物を20mg/kgの投与量で1日1回14日間反復経口投与したとき、脈絡膜・色素上皮及び虹彩・毛様体の放射能濃度は、投与終了12時間後に322μg eq./g及び425μg eq./gを示し、投与終了360日後まで徐々に減少した7)
。
幼若ウサギを用いた13週間反復点眼による眼毒性試験において、本剤投与群の眼瞼結膜、角膜、脈絡膜・色素上皮及び虹彩・毛様体内トスフロキサシン濃度は、成熟ウサギに本剤を39週間反復点眼した場合と比較して平均値で1.4~2.3倍とやや高値を示した。一方、眼球結膜及び前房水の薬剤濃度は幼若ウサギと成熟ウサギでほぼ同様な値を示した8)
。
外眼部感染症の患者304例を対象に実施した本剤の第Ⅲ相比較試験、一般臨床試験の各疾患別臨床効果は下表のとおりであった9) ,10) ,11) 。
疾患名 |
有効率(有効以上) |
|
臨床試験全体 (小児臨床試験を含む) |
小児臨床試験 |
|
眼瞼炎 |
90.0%(9/10) |
― |
涙嚢炎 |
93.8%(15/16) |
100%(5/5) |
麦粒腫 |
97.8%(45/46) |
100%(6/6) |
結膜炎 |
94.4%(187/198) |
97.6%(40/41) |
瞼板腺炎 |
87.0%(20/23) |
100%(1/1) |
角膜炎(角膜潰瘍を含む) |
100%(11/11)*1 |
― |
*1:角膜潰瘍4例を含む |
---|
上記症例より分離された適応菌種別臨床効果は下表のとおりであった9) ,10) ,11) 。
菌種 |
有効率*2(有効以上) |
ブドウ球菌属 |
94.1%(128/136) |
レンサ球菌属 |
100%(16/16) |
肺炎球菌 |
100%(10/10) |
モラクセラ属(モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス) |
100%(4/4) |
コリネバクテリウム属 |
98.7%(77/78) |
エンテロバクター属 |
100%(1/1) |
セラチア属 |
100%(4/4) |
インフルエンザ菌 |
100%(35/35) |
シュードモナス属 |
100%(3/3) |
緑膿菌 |
100%(3/3) |
ステノトロホモナス(ザントモナス)・マルトフィリア |
66.7%(2/3) |
アシネトバクター属 |
100%(2/2) |
アクネ菌 |
86.8%(79/91) |
*2:複数の菌種が検出された場合は、各々の菌種に1例として算入 |
---|
眼手術予定患者(成人)を対象に実施された術前無菌法における抗菌効果は、評価対象例数64例中無菌化例数は47例(無菌化率73.4%)であった。なお、1日点眼量及び点眼期間は、1回1滴、1日5回、2日間であった。また、安全性解析例数83例中、副作用は認められなかった12) 。
細菌のDNAの高次構造を変換するDNA gyrase及びtopoisomerase Ⅳに作用し、DNA複製を阻害することにより、殺菌的に作用する13) 。
本剤の活性本体であるトスフロキサシンの抗菌スペクトルは広範囲に及び、in vitroでブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、ミクロコッカス属、コリネバクテリウム属等のグラム陽性菌、モラクセラ属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、ヘモフィルス・エジプチウス(コッホ・ウィークス菌)、シュードモナス属、緑膿菌、バークホルデリア・セパシア、ステノトロホモナス(ザントモナス)・マルトフィリア、アシネトバクター属等のグラム陰性菌並びに嫌気性菌であるアクネ菌等の眼感染症の起因菌に対して強い抗菌力を示す14) ,15) ,16) 。
ウサギの角膜実質に緑膿菌あるいは表皮ブドウ球菌の臨床分離株を接種して作成した眼感染症モデルに対して、本剤は治療効果を示した17) 。
トスフロキサシントシル酸塩水和物(Tosufloxacin Tosilate Hydrate)
7-[(3RS)-3-Aminopyrrolidin-1-yl]-1-(2,4-difluorophenyl)-6-fluoro-4-oxo-1,4-dihydro-1,8-naphthyridine-3-carboxylic acid mono-4-toluenesulfonate monohydrate
C19H15F3N4O3・C7H8O3S・H2O
594.56
白色~微黄白色の結晶性の粉末である。N,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、水又はエタノール(99.5)にほとんど溶けない。
メタノール溶液(1→100)は旋光性を示さない。
約254℃(分解)
TFLX(トスフロキサシン)
プラスチック点眼容器 5mL×5本、5mL×10本
6) 北野周作ほか:あたらしい眼科.2006;23 別巻:47-54
7) 福島容子ほか:あたらしい眼科.2006;23 別巻:26-32
8) 木澤和夫ほか:あたらしい眼科.2006;23 別巻:37-40
9) 北野周作ほか:あたらしい眼科.2006;23 別巻:68-80
10) 北野周作ほか:あたらしい眼科.2006;23 別巻:95-110
11) 北野周作ほか:あたらしい眼科.2006;23 別巻:118-129
12) 北野周作ほか:あたらしい眼科.2006;23 別巻:111-117
13) 神山朋子ほか:あたらしい眼科.2006;23 別巻:3-11
14) 社内資料:抗菌活性(承認年月日:2006年1月23日、CTD2.6.2.2.2.1)
15) 五島瑳智子ほか:Chemotherapy.1988;36(S-9):36-58
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