2020年 11月作成 ( 第1版 ) |
有効成分 | パリペリドンパルミチン酸エステル (パリペリドンとして)(mg) 546 (350) |
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薬液量(mL) 1.75 | |
添加剤(mg) | ポリソルベート20 17.5 |
マクロゴール4000NF 131.25 | |
クエン酸水和物 13.13 | |
リン酸二水素ナトリウム一水和物 10.5 | |
水酸化ナトリウム 9.45 |
pH | 6.5~7.5 | |
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浸透圧比 | 約2(生理食塩液に対する比) | |
色・性状 | 白色の懸濁液 |
統合失調症(パリペリドン4週間隔筋注製剤による適切な治療が行われた場合に限る)
本剤の投与開始に際しては、他の抗精神病薬を併用せずにパリペリドン4週間隔筋注製剤が4ヵ月以上継続して投与され、安全性・忍容性が確認された、症状が安定している患者に投与すること。[7.1 参照]
本剤は、パリペリドン4週間隔筋注製剤が4ヵ月以上継続して投与され、適切な治療が行われた患者に対し、最終投与の4週間後から切り替えて使用する。
通常、成人には、パリペリドンとして、パリペリドン4週間隔筋注製剤最終投与量の3.5倍量を、12週間に1回、三角筋又は臀部筋に筋肉内投与する。
パリペリドン4週間隔筋注製剤投与量 |
本剤投与量 |
25mg |
なし |
50mg |
175mg |
75mg |
263mg |
100mg |
350mg |
150mg |
525mg |
本剤投与量 |
パリペリドン4週間隔筋注製剤投与量 |
175mg |
50mg |
263mg |
75mg |
350mg |
100mg |
525mg |
150mg |
最終投与時の本剤投与量(パリペリドンとして) |
再開後のパリペリドン4週間隔筋注製剤投与量(三角筋内投与)(パリペリドンとして) |
再開後の本剤投与量 |
|
再開1日目 |
再開8日目 |
再開8日目から4週間後 |
|
175mg |
50mg |
50mg |
175mg |
263mg |
75mg |
75mg |
263mg |
350mg |
100mg |
100mg |
350mg |
525mg |
100mg |
100mg |
525mg |
一過性の血圧降下があらわれることがある。
QTが延長する可能性がある。
悪性症候群(Syndrome malin)が起こりやすくなる。また、錐体外路症状の悪化に加えて、錯乱、意識レベルの低下、転倒を伴う体位不安定等の症状が発現するおそれがある。[11.1.1 参照]
痙攣閾値を低下させるおそれがある。
症状を悪化させるおそれがある。
血糖値が上昇することがある。[8.5 参照],[8.7 参照],[11.1.9 参照]
悪性症候群が起こりやすい。[11.1.1 参照]
抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。[11.1.12 参照]
クレアチニン・クリアランス50mL/分未満の腎機能障害患者には投与しないこと。本剤の排泄が遅延し血中濃度が上昇するおそれがある。[2.5 参照]
クレアチニン・クリアランス50mL/分以上80mL/分未満の患者への投与量は、パリペリドンとして350mgを超えないこと。本剤の排泄が遅延し血中濃度が上昇するおそれがある。[7.2 参照],[16.6.1 参照]
肝障害を悪化させるおそれがある。[11.1.5 参照]
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトで乳汁移行が認められている1) 。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では腎機能が低下している可能性がある。[16.6.4 参照]
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等) |
相互に作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 |
本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による。 |
ドパミン作動薬 |
相互に作用を減弱することがある。 |
本剤はドパミン遮断作用を有していることから、ドパミン作動性神経において作用が拮抗する可能性がある。 |
降圧薬 |
降圧作用が増強することがある。 |
本剤及びこれらの薬剤の降圧作用による。 |
アルコール |
相互に作用を増強することがある。 |
アルコールは中枢神経抑制作用を有する。 |
カルバマゼピン2)
|
本剤の血中濃度が低下することがある。 |
本剤の排泄、代謝を促進し、吸収を低下させる可能性がある。 |
QT延長を起こすことが知られている薬剤 |
QT延長があらわれるおそれがあるため、治療上やむを得ないと判断される場合を除き併用は避けること。 |
QT延長作用が増強するおそれがある。 |
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡することがある。[9.1.3 参照],[9.1.7 参照]
長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれ、投与中止後も持続することがある。
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、本剤は動物実験(イヌ)で制吐作用を有することから、悪心・嘔吐を不顕性化する可能性があるので注意すること。
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがある。
AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。[9.3 参照]
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
不整脈、心房細動(頻度不明)、心室性期外収縮(0.4%)等があらわれることがある。
高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤投与中は、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与等の適切な処置を行うこと。[8.5 参照],[8.7 参照],[9.1.6 参照]
脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。[8.6 参照],[8.7 参照]
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[9.1.8 参照]
α交感神経遮断作用に基づく持続勃起症があらわれることがある。
異常が認められた場合には投与を中止すること。なお、過去に経口パリペリドン又は経口リスペリドンで忍容性が確認されている場合でも、アナフィラキシーを起こした症例が報告されている。
1%以上 |
1%未満 |
頻度不明 |
|
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感染症及び寄生虫症 |
鼻咽頭炎、気道感染、肺炎、咽頭炎、鼻炎、腟感染、皮膚真菌感染、白癬感染 |
||
良性、悪性及び詳細不明の新生物 |
脂肪腫 |
||
血液及びリンパ系障害 |
血小板減少症 |
白血球数増加、好酸球数増加、ヘモグロビン減少、貧血、ヘマトクリット減少、脾腫、血小板数増加、好塩基球数増加、血中鉄減少、好中球百分率増加、好酸球百分率増加、リンパ球数増加 |
|
免疫系障害 |
過敏症、季節性アレルギー |
||
内分泌障害 |
高プロラクチン血症 |
||
代謝及び栄養障害 |
血中ブドウ糖増加、血中インスリン増加、食欲亢進、血中コレステロール増加、トリグリセリド増加、インスリンCペプチド増加、食欲減退、糖尿病、高脂血症 |
多飲症、低ナトリウム血症、食欲不振、過食、電解質失調、高コレステロール血症、低蛋白血症、総蛋白減少、血中電解質異常 |
|
精神障害 |
不安、統合失調症の悪化 |
落ち着きのなさ、攻撃性、うつ病、幻覚、睡眠障害、自殺念慮 |
不眠症、精神症状、幻聴、妄想、激越、自殺既遂、抑うつ気分、初期不眠症、被害妄想、身体妄想、悪夢、リビドー減退、セルフケア障害、自傷行動、自殺企図、睡眠時遊行症 |
神経系障害 |
アカシジア、振戦 |
運動緩慢、ジスキネジア、パーキンソニズム、傾眠、体位性めまい、錐体外路障害、頭痛、筋緊張亢進、パーキンソン歩行 |
ジストニー、痙攣、浮動性めまい、感覚鈍麻、鎮静、構語障害、構音障害、頭部動揺、失神、てんかん、健忘、精神的機能障害、末梢性ニューロパシー、大発作痙攣、嗜眠、運動過多、後弓反張、会話障害(舌の麻痺等) |
眼障害 |
霧視 |
眼球回転運動、結膜炎、注視麻痺、眼部不快感、眼精疲労 |
|
耳及び迷路障害 |
回転性めまい、耳痛、耳鳴、耳管障害 |
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心臓障害 |
心電図異常、頻脈、心電図QT延長、洞性徐脈、洞性頻脈 |
徐脈、上室性期外収縮、右脚ブロック、動悸、洞性不整脈、房室ブロック、左脚ブロック、心電図QT補正間隔延長、心拍数増加 |
|
血管障害 |
高血圧 |
起立性低血圧、低血圧、虚血 |
|
呼吸器、胸郭及び縦隔障害 |
誤嚥、咳嗽、咽喉頭疼痛、鼻閉、鼻出血、誤嚥性肺炎、間質性肺疾患 |
||
胃腸障害 |
流涎過多、便秘、下痢、嚥下障害、悪心 |
嘔吐、腹部不快感、上腹部痛、口内乾燥、腹痛、胃炎、歯肉炎、歯痛、鼓腸、舌腫脹、口唇炎、胃不快感、下腹部痛、逆流性食道炎、胃腸障害、胃潰瘍、痔核、腸管虚血、齲歯、口内炎、舌痛 |
|
肝胆道系障害 |
ALT増加 |
AST増加、肝機能検査異常、LDH増加、γ-GTP増加 |
血中ビリルビン増加、ALP増加、脂肪肝 |
皮膚及び皮下組織障害 |
そう痒症 |
発疹、湿疹、ざ瘡、紅色汗疹、皮膚乾燥、脂漏性皮膚炎、血管浮腫、皮膚炎、顔面感覚鈍麻、皮膚剥脱、寝汗、逆むけ、全身性蕁麻疹 |
|
筋骨格系及び結合組織障害 |
筋固縮 |
四肢痛、筋骨格硬直 |
筋骨格痛、背部痛、頚部痛、関節痛、筋痙縮、関節周囲炎、椎間板突出、筋痛、筋拘縮、斜頚 |
腎及び尿路障害 |
尿潜血、排尿困難、神経因性膀胱、頻尿、尿失禁、尿閉、蛋白尿 |
||
生殖系及び乳房障害 |
無月経、不規則月経 |
月経障害、乳汁漏出症、月経遅延、乳房痛、女性化乳房、乳房分泌、月経困難症、勃起不全 |
射精障害、性機能不全、前立腺炎 |
全身障害及び投与局所様態 |
注射部位硬結、注射部位疼痛、注射部位腫脹 |
注射部位紅斑、疲労、無力症、注射部位そう痒感、易刺激性、末梢性浮腫 |
注射部位熱感、倦怠感、注射部位炎症、発熱、胸部不快感、注射部位血腫、浮腫、口渇、体温低下、体温上昇、薬剤離脱症候群、低体温、不快感 |
臨床検査 |
体重増加、体重減少 |
血中クレアチニン増加 |
CK増加、血圧低下、血圧上昇、尿糖陽性、グリコヘモグロビン増加、血中尿酸増加、血中尿素減少、尿中ウロビリン陽性 |
傷害、中毒及び処置合併症 |
転倒 |
三角筋内へ投与時 |
体重90kg未満の場合:22G、針の長さ1インチ(25mm) |
臀部筋内へ投与時 |
22G、針の長さ11/2インチ(38mm) |
筋肉内投与されたパリペリドンパルミチン酸エステルは、投与部位で溶解し、活性本体のパリペリドンに加水分解された後、パリペリドンとして全身循環に移行し、組織へ分布する。なお、統合失調症患者に本剤を単回筋肉内投与したときのパリペリドンパルミチン酸エステルの血漿中濃度はほとんどの採血時点で定量下限未満であった。[7.4 参照],[7.5 参照],[8.1 参照]
統合失調症患者及び統合失調感情障害患者に本剤175及び525mgを三角筋内に、並びに350及び525mgを臀部筋内に単回投与したときの血漿中パリペリドン濃度は緩やかに上昇し、投与23~31日後にCmaxに達した後、緩やかに低下し、本剤175mgを三角筋内に投与した場合を除き最終測定時の投与後544日においても定量可能であった。
投与量 |
Cmax (ng/mL) |
tmaxa) (day) |
AUC∞ (ng・h/mL) |
t1/2 (day) |
175mg |
25.8±13.0 |
24.0 (5.0-56.1) |
50407±16376 |
56.6±32.6 |
525mg |
80.0±75.8 |
24.5 (1.0-55.0) |
144173±38128 |
60.7±29.0 |
350mg |
44.0±38.5 |
31.0 (5.0-84.1) |
101244±32718 |
94.7±73.2 |
525mg |
63.8±38.1 |
23.0 (2.0-41.0) |
145611±50623 |
91.8±66.7 |
a):中央値(範囲) |
---|
統合失調症患者及び統合失調感情障害患者に本剤を三角筋(175、300、450及び525mg)又は臀部筋(75、150、350、450及び525mg)内に単回投与したときの血漿中パリペリドンのAUC∞及びCmaxは用量に比例して増加した。本剤の投与量を350mgに補正したAUC∞は三角筋内投与時と臀部筋内投与時とで同程度であり、Cmaxは三角筋内投与時で27%高値であった。5) (外国人データ)
統合失調症患者にパリペリドン4週間隔筋注製剤を17週投与した後、本剤(175、263、350及び525mg)に切り替えて12週間隔で反復投与したときの血漿中パリペリドン濃度は、対応する用量のパリペリドン4週間隔筋注製剤(50、75、100及び150mg)を反復投与したときと同程度であった6) 。
本剤群:パリペリドン4週間隔筋注製剤を初回150mg、1週後に2回目100mgを三角筋内投与し、その後、4週間隔で50、75、100及び150mgを三角筋又は臀部筋内に3回投与した後、本剤175、263、350及び525mgに切り替えて12週間隔で三角筋又は臀部筋内に反復投与
パリペリドン4週間隔筋注製剤群:パリペリドン4週間隔筋注製剤を初回150mg、1週後に2回目100mgを三角筋内投与し、その後、4週間隔で50、75、100及び150mgを三角筋又は臀部筋内に反復投与
本剤群:パリペリドン4週間隔筋注製剤を初回150mg、1週後に2回目100mgを三角筋内投与し、その後、4週間隔で50、75、100及び150mgを三角筋又は臀部筋内に3回投与した後、本剤175、263、350及び525mgに切り替えて12週間隔で三角筋又は臀部筋内に反復投与
パリペリドン4週間隔筋注製剤群:パリペリドン4週間隔筋注製剤を初回150mg、1週後に2回目100mgを三角筋内投与し、その後、4週間隔で50、75、100及び150mgを三角筋又は臀部筋内に反復投与
ヒト血漿蛋白結合率:パリペリドン73.2%(in vitro、平衡透析法、50~250ng/mL)7)
健康成人に14C-パリペリドン1mg経口液剤を単回投与したとき、投与後7日までに投与放射能の約80%が尿中に、約11%が糞便中に排泄された。また、尿中に排泄された未変化体は投与量の約59%であった。11) (外国人データ、経口パリペリドン製剤での成績)
651例の外国人統合失調症患者及び統合失調感情障害患者の成績を対象として母集団薬物動態解析を実施し、構築された血漿中パリペリドン濃度推移に関するモデルにおいて、CL/Fの共変量としてクレアチニンクリアランス(CLcr)が同定された。軽度腎機能障害患者(CLcr:50mL/分以上80mL/分未満)では正常腎機能患者(CLcr:80mL/分以上)と比較してCL/Fが14%低下し、AUCτが16%増加すると推定された。12) (外国人データ)[2.5 参照],[7.2 参照],[9.2.2 参照]
種々の程度の腎機能障害患者にパリペリドン徐放錠3mgを単回経口投与したとき、腎機能の低下に伴い、健康成人と比較してCL/Fに軽度障害で32%、中等度障害で64%、重度障害で71%の低下が認められた13) 。
中等度肝機能障害患者(Child-Pughスコア7~9)にパリペリドン1mg(液剤)を単回経口投与したとき、肝機能の低下に伴い、健康成人と比較してCmax及びAUC∞はそれぞれ35%及び27%低下したが、非結合型濃度は同程度であった。なお、重度の肝機能障害患者における検討はなされていない。14)
健康成人及び健康高齢者を対象に、パリペリドン徐放錠3mgを単回経口投与及び1日1回7日間反復経口投与したとき、健康成人と比較して、健康高齢者ではCmax及びAUCがそれぞれ9~20%及び24~34%増加した15) 。[9.8 参照]
統合失調症又は双極Ⅰ型障害患者64例にCYP3A4及びP糖蛋白誘導作用を有するカルバマゼピン(400mg/日反復投与)とパリペリドン徐放錠(6mg/日反復投与)を21日間併用したとき、パリペリドンのCmax,ss及びAUCτはそれぞれ37.5%及び36.6%減少した2) 。(外国人データ、パリペリドン徐放錠での成績)[10.2 参照]
健康成人男性60例にCYP2D6阻害作用を有するパロキセチン(20mg/日反復投与)とパリペリドン徐放錠(3mg単回投与)を併用したとき、パリペリドンのAUC∞は16.48%増加した16) 。(外国人データ、パリペリドン徐放錠での成績)
健康成人男性30例に有機カチオントランスポーター阻害作用を有するトリメトプリム(400mg/日反復投与)とパリペリドン徐放錠(6mg単回投与)を併用したとき、それぞれの薬剤の薬物動態に併用の影響は認められなかった17) 。(外国人データ、パリペリドン徐放錠での成績)
パリペリドン4週間隔筋注製剤で症状が安定した成人(18~70歳)の統合失調症患者を対象とした国際共同実薬対照二重盲検比較試験で、本剤のパリペリドン4週間隔筋注製剤に対する非劣性を検証した。17週間の非盲検期には、パリペリドン4週間隔筋注製剤を、パリペリドンとして初回150mg、1週後に2回目100mgを三角筋内に投与し、その後50、75、100又は150mgを4週に1回三角筋又は臀部筋内に3回投与した(パリペリドン4週間隔筋注製剤の合計投与回数は5回)。3及び4回目は用量の変更が可能とされたが、5回目には4回目と同用量を投与した。続く48週間の二重盲検期には本剤を12週に1回(投与予定日の前後1週間以内での投与を許容)、又はパリペリドン4週間隔筋注製剤を4週に1回、三角筋若しくは臀部筋内に投与した。二重盲検期の用量は、本剤群では5回目のパリペリドン4週間隔筋注製剤の投与量の3.5倍量(パリペリドンとして175、263、350又は525mg)とし、パリペリドン4週間隔筋注製剤群では、5回目の投与量と同用量とした。二重盲検期終了時の統合失調症症状の非再発率の群間差(本剤群-パリペリドン4週間隔筋注製剤群、95%信頼区間)は1.2%(-2.7%、5.1%)と推定され、95%信頼区間の下限(-2.7%)が事前に規定した非劣性マージン-15%を上回ったため、本剤のパリペリドン4週間隔筋注製剤に対する非劣性が検証された。18)
投与群 |
例数 |
非再発率a)(%) |
非再発率の差(95%信頼区間) |
本剤群 |
458 |
91.2 |
1.2(-2.7, 5.1) |
パリペリドン4週間隔筋注製剤群 |
490 |
90.0 |
|
a)カプラン・マイヤー法で推定した48週(336日)後の非再発率 |
---|
安全性評価対象例504例(日本人52例を含む)中210例(41.7%)に副作用が認められた。その主なものは、体重増加91例(18.1%)、アカシジア20例(4.0%)、注射部位硬結14例(2.8%)、注射部位疼痛11例(2.2%)、不安9例(1.8%)、振戦9例(1.8%)であった。
主としてドパミンD2受容体拮抗作用及びセロトニン5-HT2A受容体拮抗作用に基づく、中枢神経系の調節によるものと考えられる。
パリペリドンパルミチン酸エステルは、活性本体のパリペリドンに加水分解されて薬効を示す。
ドパミンD2受容体拮抗作用を有し、ラットでアポモルヒネ又はアンフェタミンにより誘発される興奮や常同行動等の行動変化を用量依存的に抑制した19) ,20) 。
セロトニン5-HT2A受容体拮抗作用を有し、ラットでトリプタミン又はメスカリンにより誘発される振戦や首振り運動等の行動変化を抑制した19) ,21) ,22) 。
ラットでのカタレプシー惹起作用は、リスペリドンと同等であった。また、ラットの中脳辺縁系(側坐核)でのドパミンD2受容体に対する占有率は、錐体外路症状との関連が深いとされている線条体での占有率より高い。しかしハロペリドールでは側坐核と線条体で同程度であった。なお、セロトニン5-HT2A受容体拮抗作用が線条体におけるドパミン伝達の遮断を緩和している可能性がある。20) ,23)
パリペリドンパルミチン酸エステル(Paliperidone Palmitate)
(9RS)-3-{2-[4-(6-Fluoro-1,2-benzoisoxazol-3-yl)piperidin-1-yl]ethyl}-2-methyl-4-oxo-6,7,8,9-tetrahydro-4H-pyrido[1,2-a]pyrimidin-9-yl palmitate
C39H57FN4O4
664.89
白色の粉末
logP>5(疎水性フラグメント定数より算出)
ジクロロメタン 330mg/mL
酢酸エチル 2.8mg/mL
メタノール 0.35mg/mL
水 <0.01mg/mL
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
1) Hill RC, et al.:J Clin Psychopharmacol. 2000; 20: 285-286
2) 社内資料:パリペリドン徐放錠とカルバマゼピンの相互作用の検討
5) 社内資料:パリペリドンパルミチン酸エステル3ヵ月製剤の外国人患者における薬物動態の検討(2020年9月25日承認、CTD2.7.2.2.1)
6) 社内資料:パリペリドンパルミチン酸エステル3ヵ月製剤の国際共同試験成績(2020年9月25日承認、CTD2.7.2.2.3)
8) 社内資料:パリペリドンパルミチン酸エステルの代謝の検討
12) 社内資料:パリペリドンパルミチン酸エステル3ヵ月製剤の母集団薬物動態解析(2020年9月25日承認、CTD2.7.2.3.2)
13) 社内資料:腎機能障害被験者におけるパリペリドン徐放錠の薬物動態の検討
14) Boom S, et al.:Int J Clin Pharmacol Ther. 2009; 47: 606-616
15) 社内資料:高齢者におけるパリペリドン徐放錠の薬物動態の検討
16) 社内資料:パリペリドン徐放錠とパロキセチンの相互作用の検討
17) 社内資料:パリペリドン徐放錠とトリメトプリムの相互作用の検討
18) 社内資料:パリペリドンパルミチン酸エステル3ヵ月製剤の国際共同試験成績(2020年9月25日承認、CTD2.7.6.3.1)
19) 社内資料:パリペリドンの抗ドパミン作用及び抗セロトニン作用
20) 社内資料:パリペリドンの抗ドパミン作用及びカタレプシー惹起作用
22) Megens AAHP, et al.:Drug development research. 1994; 33: 399-412
23) Leysen JE, et al.:J Clin Psychiatry. 1994; 55(suppl. 5) : 5-12
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