ラツーダ錠20mg

添付文書番号

1179061F1022_1_02

企業コード

400093

作成又は改訂年月

** 2020年 10月改訂 ( 第4版 )
2020年 6月改訂

日本標準商品分類番号

871179

薬効分類名

抗精神病薬/双極性障害のうつ症状治療薬

承認等

ラツーダ錠20mg

販売名コード

YJコード

1179061F1022

販売名英語表記

Latuda tablets

承認番号等

承認番号

30200AMX00445

販売開始年月

2020年 6月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

一般的名称

ルラシドン塩酸塩

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 昏睡状態の患者[昏睡状態が悪化するおそれがある。]
  2. 2.2 バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強される。]
  3. 2.3 CYP3A4を強く阻害する薬剤(アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール(経口剤、口腔用剤、注射剤)、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、ポサコナゾール)、HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル、ロピナビル・リトナビル配合剤、ネルフィナビル、ダルナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビル)、コビシスタットを含む製剤、クラリスロマイシン)を投与中の患者[10.1 参照],[16.7.1 参照]
  4. 2.4 CYP3A4を強く誘導する薬剤(リファンピシン、フェニトイン)を投与中の患者[10.1 参照],[16.7.1 参照]
  5. 2.5 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  6. 2.6 アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く)[10.1 参照]

3. 組成・性状

3.1 組成

ラツーダ錠20mg

有効成分 1錠中ルラシドン塩酸塩   20 mg
添加剤 D-マンニトール、部分アルファー化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウム、マクロゴール6000、酸化チタン、カルナウバロウ

3.2 製剤の性状

ラツーダ錠20mg

外形
大きさ 直径 約6.1mm
厚さ 約2.9mm
質量 約82mg
色・剤形 白色~帯黄白色の円形の割線入りのフィルムコーティング錠

4. 効能又は効果

  • 統合失調症
  • 双極性障害におけるうつ症状の改善

6. 用法及び用量

  • 〈統合失調症〉

    通常、成人にはルラシドン塩酸塩として40 mgを1日1回食後経口投与する。
    なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は80 mgを超えないこと。

  • 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉

    通常、成人にはルラシドン塩酸塩として20~60 mgを1日1回食後経口投与する。
    なお、開始用量は20 mg、増量幅は1日量として20 mgとし、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は60 mgを超えないこと。

7. 用法及び用量に関連する注意

  • 〈統合失調症〉
    1. 7.1 忍容性が確認され、効果不十分な場合にのみ増量を検討すること。また、本剤の投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。
    2. 7.2 中等度以上の腎機能障害のある患者では、下記の表を参考に、腎機能の程度に応じて投与量を適宜減量し、慎重に投与すること。[9.2.1 参照],[16.6.1 参照]

      血清クレアチニン
      Cr(mg/dL)

      クレアチニン
      クリアランス
      (CLcr, mL/min)

      開始用量

      増量幅

      維持用量

      最高用量

      中等度の
      腎機能障害

      男性:1.4 < Cr≦2.4
      女性:1.2 < Cr≦2.0

      30≦CLcr < 50

      20 mg

      10 mg

      40 mg

      60 mg

      重度の
      腎機能障害

      男性:Cr > 2.4
      女性: Cr > 2.0

      CLcr < 30

      20 mg

      10 mg

      20 mg

      60 mg

      ※:CLcr に相当する換算値(年齢60歳、体重65kg)

    3. 7.3 中等度以上の肝機能障害のある患者では、下記の表を参考に、肝機能の程度に応じて投与量を適宜減量し、慎重に投与すること。[9.3.1 参照],[16.6.2 参照]

      Child-Pugh分類

      開始用量

      増量幅

      維持用量

      最高用量

      中等度の
      肝機能障害

      B

      20 mg

      10 mg

      40 mg

      60 mg

      重度の
      肝機能障害

      C

      20 mg

      10 mg

      20 mg

      30 mg

  • 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉
    1. 7.4 中等度以上の腎機能障害のある患者では、下記の表を参考に、腎機能の程度に応じて 投与量を適宜減量し、慎重に投与すること。[9.2.1 参照],[16.6.1 参照]

      血清クレアチニン
      Cr(mg/dL)

      クレアチニン
      クリアランス
      (CLcr, mL/min)

      開始用量

      増量幅

      維持用量

      最高用量

      中等度の
      腎機能障害

      男性:1.4 < Cr≦2.4
      女性:1.2 < Cr≦2.0

      30≦CLcr < 50

      10 mg

      10 mg

      -

      60 mg

      重度の
      腎機能障害

      男性:Cr > 2.4
      女性: Cr > 2.0

      CLcr < 30

      10 mg

      10 mg

      -

      60 mg

      ※:CLcr に相当する換算値(年齢60歳、体重65 kg)、-:設定なし

    2. 7.5 中等度以上の肝機能障害のある患者では、下記の表を参考に、肝機能の程度に応じて投与量を適宜減量し、慎重に投与すること。[9.3.1 参照],[16.6.2 参照]

      Child-Pugh分類

      開始用量

      増量幅

      維持用量

      最高用量

      中等度の
      肝機能障害

      B

      10 mg

      10 mg

      -

      60 mg

      重度の
      肝機能障害

      C

      10 mg

      10 mg

      -

      30 mg

      -:設定なし

8. 重要な基本的注意

  • 〈効能共通〉
    1. 8.1 興奮、不眠、不安等の精神症状を悪化させる可能性があるので観察を十分に行い、悪化がみられた場合には他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。
    2. 8.2 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
    3. 8.3 本剤の投与により、高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤の投与に際しては、あらかじめこれらの副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること。特に糖尿病又はその既往歴あるいはその危険因子を有する患者については、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。[9.1.5 参照],[11.1.4 参照]
    4. 8.4 投与初期、再投与時、増量時にα交感神経遮断作用に基づく起立性低血圧があらわれることがあるので、患者の状態を慎重に観察し、低血圧症状があらわれた場合には減量する等、適切な処置を行うこと。
  • 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉
    1. 8.5 うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。[9.1.4 参照]
    2. 8.6 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。[9.1.4 参照]
    3. 8.7 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。[9.1.4 参照]
    4. 8.8 大うつ病性障害等の精神疾患(双極性障害におけるうつ症状を含む)を有する患者への抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。[9.1.4 参照],[15.1.3 参照]
    5. 8.9 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。[9.1.4 参照]
    6. 8.10 うつ症状が改善した場合には、本剤の投与継続の要否について検討し、本剤を漫然と投与しないよう注意すること。双極性障害の維持療法における本剤の有効性は確立していない。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 パーキンソン病又はレビー小体型認知症の患者

    錐体外路症状が悪化するおそれがある。

  2. 9.1.2 てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者

    痙攣閾値を低下させるおそれがある。[11.1.3 参照]

  3. 9.1.3 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者

    悪性症候群が起こりやすい。[11.1.1 参照]

  4. 9.1.4 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者

    自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。[8.5 参照],[8.6 参照],[8.7 参照],[8.8 参照],[8.9 参照]

  5. 9.1.5 糖尿病又はその既往歴のある患者、あるいは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者

    血糖値が上昇することがある。[8.3 参照],[11.1.4 参照]

  6. 9.1.6 不整脈の既往歴のある患者、先天性QT延長症候群の患者

    QTが延長する可能性がある。

  7. 9.1.7 心・血管疾患、低血圧又はそれらの疑いのある患者

    一過性の血圧降下があらわれるおそれがある。

  8. 9.1.8 不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者

    肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。[11.1.5 参照]

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 中等度以上の腎機能障害患者

    血中濃度が上昇するおそれがある。[7.2 参照],[7.4 参照],[16.6.1 参照]

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 中等度以上の肝機能障害患者

    血中濃度が上昇するおそれがある。[7.3 参照],[7.5 参照],[16.6.2 参照]

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に、生理機能が低下している。

10. 相互作用

  • 本剤は、主として薬物代謝酵素CYP3A4で代謝される。[16.4 参照]

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

CYP3A4を強く阻害する薬剤

  • アゾール系抗真菌剤
    • イトラコナゾール(イトリゾール)
      ボリコナゾール(ブイフェンド)
      ミコナゾール(経口剤、口腔用剤、注射剤)(フロリード、オラビ)
      フルコナゾール(ジフルカン)
      ホスフルコナゾール(プロジフ)
      ポサコナゾール(ノクサフィル)
  • HIVプロテアーゼ阻害剤
    • リトナビル(ノービア)
      ロピナビル・リトナビル配合剤(カレトラ)
      ネルフィナビル(ビラセプト)
      ダルナビル(プリジスタ)
      アタザナビル(レイアタッツ)
      ホスアンプレナビル(レクシヴァ)
  • コビシスタットを含む製剤(スタリビルド、ゲンボイヤ、プレジコビックス、シムツーザ)
    クラリスロマイシン(クラリシッド)

[2.3 参照],[16.7.1 参照]

本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがある。

本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する。

CYP3A4を強く誘導する薬剤

  • リファンピシン(リファジン)
    フェニトイン(アレビアチン)

[2.4 参照],[16.7.1 参照]

本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱されるおそれがある。

本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する。

アドレナリン
(アナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く)
(ボスミン)
[2.6 参照]

アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧降下を起こすことがある。

アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。

*10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

中枢神経抑制剤

相互に中枢神経抑制作用を増強するおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること。

本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による。

アルコール

相互に中枢神経抑制作用を増強するおそれがある。

アルコールは中枢神経抑制作用を有する。

ドパミン作動薬

  • レボドパ製剤
    ブロモクリプチン 等

相互に作用が減弱するおそれがある。

本剤はドパミン受容体遮断作用を有していることから、ドパミン作動性神経において、作用が拮抗することによる。

*CYP3A4を阻害する薬剤

  • ジルチアゼム
    エリスロマイシン
    ベラパミル 等

[16.7.1 参照]

本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがあるので、観察を十分に行い、患者の状態に応じて本剤の用量を通常の半量に減じるなど慎重に投与すること。

本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する。ジルチアゼム併用時の本剤のCmax及びAUCは、ジルチアゼム非併用時の2倍程度に上昇した。

グレープフルーツ含有食品

本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがあるので、本剤の服用中は摂取しないように注意すること。

CYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する。

CYP3A4を誘導する薬剤

  • カルバマゼピン
    バルビツール酸誘導体
    ボセンタン
    エファビレンツ
    エトラビリン
    モダフィニル
    セント・ジョーンズ・ワート含有食品 等

本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱されるおそれがあるので、観察を十分に行うこと。

本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する可能性がある。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 悪性症候群(頻度不明)

    無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡することがある。[9.1.3 参照]

  2. 11.1.2 遅発性ジスキネジア(1%未満)

    長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は減量又は中止を考慮すること。なお、投与中止後も症状が持続することがある。

  3. 11.1.3 痙攣(頻度不明)

    痙攣(強直間代性、部分発作及びミオクローヌス発作等)があらわれることがある。[9.1.2 参照]

  4. 11.1.4 高血糖(1%未満)、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(いずれも頻度不明)

    高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがある。口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与等の適切な処置を行うこと。[8.3 参照],[9.1.5 参照]

  5. 11.1.5 肺塞栓症、深部静脈血栓症(いずれも頻度不明)

    肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[9.1.8 参照]

  6. 11.1.6 横紋筋融解症(頻度不明)

    筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。

  7. 11.1.7 無顆粒球症(頻度不明)、白血球減少(1%未満)

**11.2 その他の副作用

5%以上

1~5%未満

1%未満

頻度不明

過敏症

そう痒

じん麻疹、湿疹、発疹、血管浮腫、顔面腫脹

過敏症、咽頭浮腫、舌腫脹

精神神経系

統合失調症の悪化、不安、傾眠、不眠、頭痛、浮動性めまい

精神症状の悪化、易刺激性、激越、攻撃性、リビドー減退、幻覚・妄想、悪夢、鎮静、うつ症状の悪化・抑うつ、自傷行為、自殺念慮、自殺企図

失神、パニック発作、突然死、眉間反射異常

**錐体外路症状注)

アカシジア(静坐不能)(8.3%)

振戦、ジストニア、パーキンソニズム、筋固縮、ジスキネジア

運動緩慢、流涎過多、眼球回転発作、構語障害、筋緊張、筋痙縮、落ち着きのなさ、錐体外路障害

開口障害、舌痙攣、嚥下障害、斜頚、運動低下

循環器

心電図異常(QT延長、PR短縮)、房室ブロック、動悸、頻脈、徐脈、血圧上昇

脳血管発作、狭心症、起立性低血圧

血液

血小板減少、好中球減少

貧血

内分泌

プロラクチン上昇

甲状腺機能異常(亢進症・低下症)、乳汁分泌、月経異常

乳房腫大、乳房痛、勃起不全

消化器

悪心、嘔吐、便秘、腹部不快感

胃腸障害、口内乾燥、口渇、上腹部痛、腹痛、食欲減退、食欲亢進、消化不良、腹部膨満、胃炎、下痢

肝臓

ALT上昇、AST上昇、肝機能異常、ビリルビン上昇、肝障害

腎臓・泌尿器

排尿困難・排尿異常、尿蛋白陽性

腎不全

その他

体重増加

体重減少、多汗、熱感、発熱、脱力、疲労、CK上昇、筋力低下、筋骨格硬直、胸内苦悶感・胸部圧迫感、疼痛、背部痛、耐糖能異常(血糖上昇、HbA1c 上昇、尿糖陽性)、脂質異常症、多飲症、摂食障害症状(拒食・過食)、咳嗽、鼻咽頭炎、アレルギー性鼻炎、色素沈着、脱毛、霧視、回転性めまい、末梢性浮腫

低ナトリウム血症、糖尿病

注)症状があらわれた場合には必要に応じて減量又は抗パーキンソン薬の投与等、適切な処置を行うこと。

13. 過量投与

  1. 13.1 徴候、症状

    外国において、過量投与例で錐体外路症状、昏睡、呼吸抑制、不整脈、低血圧等があらわれたとの報告がある。

  2. 13.2 処置

    アドレナリン、ドパミン、あるいは他のβ-受容体アゴニスト活性を有する薬剤は低血圧を更に悪化させるおそれがあるので使用しないこと。重度の錐体外路症状に対しては抗コリン剤の投与を考慮すること。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意

  1. 14.1.1 本剤の吸収は食事の影響を受けやすいので、食後に服用するよう指導すること。[16.1.1 参照],[16.2.2 参照]
  2. 14.1.2 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

  • 〈効能共通〉
    1. 15.1.1 本剤による治療中、原因不明の突然死が報告されている。
    2. 15.1.2 外国で実施された認知症に関連した精神病症状(承認外効能・効果)を有する高齢患者を対象とした17の臨床試験において、類薬の非定型抗精神病薬投与群はプラセボ投与群と比較して死亡率が1.6~1.7倍高かったとの報告がある。なお、本剤との関連性については検討されておらず、明確ではない。また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率の上昇に関与するとの報告がある。
  • 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉
    1. 15.1.3 外国で実施された大うつ病性障害等の精神疾患(双極性障害のうつ症状を含む)を有する患者を対象とした、複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した。[8.8 参照]

15.2 非臨床試験に基づく情報

  1. 15.2.1 動物実験(イヌ)で制吐作用が認められたため、腸閉塞、脳腫瘍、薬剤中毒等による嘔吐症状を不顕性化する可能性がある。
  2. 15.2.2 げっ歯類(マウス、ラット)のがん原性試験において、乳腺腫瘍(雌マウス30 mg/kg/日以上、雌ラット12 mg/kg/日以上)、下垂体腫瘍(雌マウス30 mg/kg/日以上)の発生頻度の上昇が認められている。これらの所見は、プロラクチンの上昇と関連した変化として、げっ歯類でよく知られている。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

    健康成人男性11例に、本剤40 mgを食後又は空腹時に単回経口投与したとき、血清中ルラシドンの薬物動態パラメータは以下のとおりであった1) [14.1.1 参照],[16.2.2 参照]

    健康成人男性に本剤を単回投与した場合の薬物動態パラメータ

    投与時期

    例数

    Cmax
    (ng/mL)

    AUC0-48
    (ng・h/mL)

    AUC0-∞
    (ng・h/mL)

    Tmaxa)
    (h)

    t1/2
    (h)

    食後

    11

    52.73±21.92

    193.20±66.18

    212.37±76.13

    1.50(1.5-4.0)

    22.45±6.99

    空腹時

    11

    22.10± 8.65

    115.99±39.10

    125.64±47.06

    1.50(1.0-4.0)

    15.97±6.40

    平均値±標準偏差、a)中央値(範囲)

  2. 16.1.2 反復投与
    • 〈統合失調症〉

      統合失調症患者20例に本剤1日1回20 mgから80 mgを漸増漸減法により8週間食後経口投与した。同一用量で6日間以上反復投与した後の血清中ルラシドンのCmax、Cmin及びAUC0- 24は、いずれも投与量の増加に伴って、ほぼ線形に増加した2)

      統合失調症患者に本剤を反復経口投与した場合の定常状態の薬物動態パラメータ

      投与量

      例数

      Cmax
      (ng/mL)

      Cmin a)
      (ng/mL)

      AUC0-24 b)
      (ng・h/mL)

      Tmaxc)
      (h)

      20 mg

      6

      16.37 ±8.99

      1.60 ± 0.59

      95.16 ±29.01

      2.75(1.1-7.8)

      40 mg

      9

      48.33 ± 25.35

      4.34 ± 2.15

      285.56 ± 113.37

      3.80(1.5-5.9)

      60 mg

      8

      65.97 ± 37.42

      5.01 ± 1.91

      362.83 ± 175.77

      2.00(1.0-4.0)

      80 mg

      7

      79.39 ± 41.39

      7.32 ± 4.33

      487.39 ± 211.90

      2.00(0.5-3.8)

      平均値±標準偏差、a)投与直前の濃度、b)20 mgの1例についてAUC0-8を用いて算出、c)中央値(範囲)

    • 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉

      母集団薬物動態解析の結果、健康成人、統合失調症患者及び双極I型障害患者の各集団(健康成人131例、統合失調症患者1491例及び双極I型障害患者454例)で推定された経口クリアランスの平均値及びその95%信頼区間(下限-上限)はそれぞれ220.7(201.5-239.8)、220.7(210.1-231.4)及び210.5(171.6-249.3) L/hと被験者集団間で類似しており、被験者集団間で薬物動態は同様であると考えられた3) (外国人データ)。

16.2 吸収

  1. 16.2.1 吸収率

    健康成人男性に14C標識ルラシドン40 mgを食後単回経口投与したときの尿中放射能排泄率から、経口投与後9.19~19.1%が吸収されていると考えられた4) ,5) (外国人データ)。

  2. 16.2.2 食事の影響

    血清中ルラシドンのCmax、AUC0-48及びAUC0-∞は、空腹時投与に比べて食後投与では2.4倍、1.7倍及び1.7倍に増加した1) [14.1.1 参照],[16.1.1 参照]

16.3 分布

  1. 16.3.1 蛋白結合率

    99.8%以上(in vitro、ヒト血清、100 ng/mL~1 μg/mL、平衡透析法)6)

16.4 代謝

ルラシドンは、主にCYP3A4による代謝を受け7) 体内から消失する。複数の代謝経路の組み合わせにより多くの代謝物が存在する。そのうち量的に主要なものはシクロヘキシルメチル-ピペラジン間のC-N結合の開裂を受けた2種の代謝物で、AUC0-8は総放射能のそれぞれ約24%及び約11%であったが4) 、いずれも薬理活性を示さなかった。また、ノルボルナン骨格の水酸化体2種は、in vivoで未変化体と同程度の薬理活性を示すが8) 、いずれもヒトの血清中濃度は未変化体より低かった4) ,5) [10. 参照]

16.5 排泄

健康成人男性各6例に本剤2.5 mg注)から30 mgを食後単回経口投与したとき、投与後48時間までに、未変化体として尿中に排泄されたのは投与量の0.2%以下であり、本剤は主に代謝により体内から消失することが示された9)
健康成人男性11例に14C標識ルラシドン40 mgを食後単回経口投与したとき、尿中及び糞中放射能排泄率はそれぞれ投与量の9.19~19.1%及び67.2~80.1%であった4) ,5) (外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 腎機能障害患者

    腎機能障害患者27例(軽度:クレアチニンクリアランス50 mL/min以上80 mL/min以下9例、中等度:30 mL/min以上50 mL/min未満9例、重度:30 mL/min未満9例)に本剤40 mgを食後単回投与したとき、健康成人に比べて、血清中ルラシドンのAUC0-∞は腎機能障害が軽度、中等度及び重度でそれぞれ1.5倍、1.9倍及び2.0倍に上昇し、Cmaxは1.4倍、1.9倍及び1.5倍に上昇した10) (外国人データ)。[7.2 参照],[7.4 参照],[9.2.1 参照]

  2. 16.6.2 肝機能障害患者

    肝機能障害患者15例(軽度:Child-Pugh分類クラスA 6例、中等度:クラスB 6例、重度:クラスC 3例)に、本剤20 mgを食後単回投与したとき、血清中ルラシドンのAUC0-∞は健康成人に比べて軽度では1.3倍、中等度では1.8倍、重度では3.0倍に上昇した。肝機能障害の程度はCmaxに影響しなかった11) (外国人データ)。[7.3 参照],[7.5 参照],[9.3.1 参照]
    ※:AUC0-∞の比は算出不能であったため、AUC0-lastの比を示した。

  3. 16.6.3 高齢者

    65歳以上の健康高齢男性12例及び健康非高齢男性8例に本剤20 mgを食後単回投与したとき、血清中ルラシドン濃度は、高齢者では非高齢者よりTmaxが約1.7倍長く、Cmaxが0.7倍に低下したが、AUC0-48は同程度であった。高齢者では非高齢者に比べて吸収が遅れる傾向が認められたが、吸収量は変わらないと考えられた12)

    血清中ルラシドンの薬物動態パラメータ

    例数

    Cmax
    (ng/mL)

    AUC0-48
    (ng・h/mL)

    Tmaxa)
    (h)

    t1/2
    (h)

    健康高齢者

    12

    22.53±10.90

    97.93±41.96

    2.00(1.0-4.0)

    19.87±4.05

    健康非高齢者

    8

    31.56±12.98

    86.11±29.44

    1.50(1.0-2.0)

    29.96±12.91

    平均値±標準偏差、a)中央値(範囲)

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1 併用薬がルラシドンの薬物動態に与える影響

    併用薬及び用法・用量

    例数

    本剤の
    用法・用量

    ルラシドンの
    薬物動態パラメータの比
    (併用時/本剤単独時)

    Cmax

    AUC

    ケトコナゾール13)  ※
    (強いCYP3A4阻害剤)
    [2.3 参照],[10.1 参照]

    400 mg/日
    5日間

    10

    10 mg単回注)

    6.8

    9.3

    ジルチアゼム14)  ※
    (CYP3A4阻害剤)
    [10.2 参照]

    240 mg/日
    5日間

    10

    20 mg単回

    2.1

    2.2

    リファンピシン15)  ※
    (強いCYP3A4誘導剤)
    [2.4 参照],[10.1 参照]

    600 mg/日
    8日間

    20

    40 mg単回

    0.15

    0.19

    リチウム16)  ※

    600 mg 1日2回
    8日間

    20

    120 mg/日注)
    定常状態

    0.92

    1.1

    ※:外国人データ

  2. 16.7.2 ルラシドンが併用薬の薬物動態に与える影響

    リチウム600 mg を1日2回反復投与した後の定常状態でのトラフの血清中リチウム濃度は、本剤120 mg注)を 1日1回反復投与で併用した定常状態においても、治療濃度範囲である0.6~1.2 mmol/Lに維持されていた16) (外国人データ)。

  3. 16.7.3 薬物代謝酵素の誘導及び阻害

    ヒト新鮮肝細胞を用いた検討で、ルラシドンはCYP酵素(CYP1A2、CYP2B6、CYP3A4)に対する誘導能をほとんど示さなかった17) 。ヒト肝ミクロソームを用いた検討でルラシドンは、CYP1A2、CYP2B6、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4に対して顕著な阻害能を示さなかった。CYP2C8、CYP2C9及びCYP2C19に対しては阻害作用(IC50は5.9~7.4 μmol/L)を示した18) in vitro)が、臨床用量では上記CYP酵素を阻害しないと考えられた。

  4. 16.7.4 トランスポーター

    Caco-2細胞又はトランスポーター発現系細胞を用いた検討で、ルラシドンはP糖蛋白、BCRP、OATP1B1及びOATP1B3の基質ではないことが示された19) ,20) in vitro)。
    また、BCRP、OAT3、OCT1、OCT2及びMATE1の活性に対しては阻害作用(IC50 は0.498~2.57 μmol/L)を示し、OAT1、OATP1B1、OATP1B3、MATE2-K及びBSEPの活性に対しても弱く阻害作用を示した(IC50 > 10 μmol/L)21) in vitro)が、本剤をこれらトランスポーターの基質薬剤と併用投与しても、臨床用量では併用薬の取り込み及び排泄を阻害しないと考えられた。

    注)本剤の承認された用量は1日1回20~80 mgである。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  • 〈統合失調症〉
    1. 17.1.1 国際共同第3相試験(1)

      急性期の統合失調症患者457例(日本人患者197例を含む)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験において、本剤40 mg、80 mg又はプラセボを1日1回食後に6週間投与したとき、mITT集団のPositive and Negative Syndrome Scale(以下、PANSS)合計スコア変化量は下表のとおりであった(Mixed Model for Repeated Measures(以下、MMRM)解析)22)

      投与6週後におけるPANSS合計スコアのベースラインからの変化量
      (mITT集団a)、MMRM解析)

      投与群

      例数

      PANSS合計スコア

      プラセボ群との比較b)

      ベースライン

      投与6週後におけるベースラインからの変化量b)

      群間差
      [95%信頼区間]

      両側p値c)

      平均値 ±
      標準偏差

      最小二乗平均値 ±
      標準誤差

      プラセボ群

      142

      101.5 ± 14.1

      -13.1 ± 1.72

      本剤40mg群

      145

      102.8 ± 16.3

      -17.9 ± 1.72

      -4.8[-9.52, 0.00]

      0.050

      本剤80mg群

      152

      101.0 ± 15.9

      -17.3 ± 1.67

      -4.2[-8.91, 0.50]

      a) 主要な解析集団。試験計画時に、有効性評価への影響を考慮して、ロラゼパム又は他の睡眠導入剤を服用後12時間以内のデータを除外する規定とした。
      b) 共変量として実施医療機関、評価時期、ベースライン値、投与群及び投与群と評価時期の交互作用を含み、共分散構造をunstructuredとしたMMRMによる解析に基づく。
      c) 多重性の調整には閉検定手順(40 mg→80 mg)を用いた。

      本剤の副作用発現頻度は40 mg群で39.3%(59/150例)、80 mg群で36.4%(56/154例)であり、主な副作用はアカシジア(40 mg群、80 mg群の順に以降同様、6.0%、9.7%)、悪心(6.0%、3.2%)、嘔吐(5.3%、2.6%)、傾眠(5.3%、2.6%)等であった。

    2. 17.1.2 国際共同第3相試験(2)

      急性期の統合失調症患者483例(日本人患者107例を含む)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験において、本剤40 mg又はプラセボを1日1回夕食後に6週間投与したとき、本剤40 mg群のベースラインからのPANSS合計スコアは投与6週後でプラセボと比較して有意に改善した[p<0.001、MMRM解析]23) 。なお、二重盲検試験の本剤40 mg群でPANSS合計スコアの改善が20%未満であった患者のうち、本剤40 mg又は80 mgを可変用量で12週間継続投与した長期投与試験での最頻投与量が40 mg及び80 mgであった患者集団では、長期投与試験のベースラインから最終評価(LOCF)までのPANSS合計スコア変化量は-6.2±16.67及び-10.7±13.83であった24)

      投与6週後におけるPANSS合計スコアのベースラインからの変化量
      (ITT集団、MMRM解析)

      投与群

      例数

      PANSS合計スコア

      プラセボ群との比較a)

      ベースライン

      投与6週後におけるベースラインからの変化量a)

      群間差
      [95%信頼区間]

      両側p値

      平均値 ±
      標準偏差

      最小二乗平均値 ±
      標準誤差

      プラセボ群

      233

      101.7 ± 11.45

      -12.7 ± 1.15

      本剤40mg群

      245

      102.8 ± 11.04

      -19.3 ± 1.10

      -6.6 [-9.7, -3.5]

      <0.001

      a) 共変量として実施医療機関、評価時期、ベースライン値、投与群及び投与群と評価時期の交互作用を含み、共分散構造をunstructuredとしたMMRMによる解析に基づく。

      二重盲検試験の本剤40 mg群の副作用発現頻度は27.9%(69/247例)、主な副作用はアカシジア(4.0%)、頭痛(4.0%)、統合失調症(4.0%)、不眠症(3.6%)、傾眠(2.8%)等であった。長期投与試験の本剤の副作用発現頻度は全体で34.6%(100/289例)、主な副作用はアカシジア(6.6%)、悪心(3.5%)、血中プロラクチン増加(3.5%)、頭痛(2.8%)、統合失調症(2.4%)、便秘(2.4%)、不眠症(2.1%)、パーキンソニズム(2.1%)等であった。

  • 〈双極性障害におけるうつ症状の改善〉
    1. 17.1.3 国際共同第3相試験

      大うつ病エピソードを有する双極I型障害患者525例(日本人患者179例を含む)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験において、本剤20~60 mg、80~120 mg注1)又はプラセボを1日1回夕食後に6週間投与したとき、ベースラインから投与6週後のMontgomery-Asberg Depression Rating Scale(以下、MADRS)合計スコア変化量は下表のとおりであった。本剤20~60 mg群でMADRS合計スコアの変化量はプラセボ群と比較して有意に大きかった(20~60 mg群 調整p=0.007、MMRM解析)25)

      投与6週後におけるMADRS合計スコアのベースラインからの変化量
      (ITT集団、MMRM解析)

      投与群

      例数

      MADRS合計スコア

      プラセボ群との比較a)

      ベースライン

      投与6週後におけるベースラインからの変化量a)

      群間差
      [95%信頼区間]

      調整
      p値b)

      平均値 ± 
      標準偏差

      最小二乗平均値 ± 
      標準誤差

      プラセボ群

      171

      30.9 ± 5.39

      -10.6 ± 0.72

      本剤20~60 mg群

      182

      30.6 ± 5.57

      -13.6 ± 0.69

      -2.9 [-4.9, -1.0]

      0.007

      本剤80~120 mg群注1)

      169

      30.8 ± 5.09

      -12.6 ± 0.73

      -2.0 [-4.0, 0.1]

      0.057

      a) 共変量として実施医療機関、評価時期、ベースライン値、投与群及び投与群と評価時期の交互作用を含み、共分散構造をunstructuredとしたMMRMによる解析に基づく。
      b) Hochberg法を用いて多重性を調整。

      本剤20~60 mg群の副作用発現頻度は38.6%(71/184例)、主な副作用はアカシジア(13.0%)、悪心(6.5%)等であった。

17.3 その他

  1. 17.3.1 QT間隔に対する影響

    統合失調症患者又は統合失調感情障害患者(外国人)にルラシドン120 mg/日又は600 mg/日注2)(600 mg/日は漸増投与)を1 日1 回11 日間経口投与したとき、QTc 間隔のベースラインからの変化量の90%信頼区間の上限値は、ルラシドン120 mg/日及び600 mg/日でそれぞれ最大14.7 msec(投与2 時間後)及び11.5 msec(投与4 時間後)であった26)

    注1) 本剤の双極性障害におけるうつ症状の改善で承認された用量は1日1回20~60 mgである。
    注2) 本剤の承認された用量は1日1回20~80 mgである。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

ルラシドンはドパミンD2受容体、セロトニン5-HT2A、5-HT1A及び5-HT7受容体に対して結合親和性を示す8) 。ルラシドンはドパミンD2受容体アンタゴニスト作用、セロトニン5-HT2Aアンタゴニスト作用、5-HT7受容体アンタゴニスト作用及びセロトニン5-HT1A受容体部分アゴニスト作用を併せ持ち8) 、これらの薬理作用が臨床における有用性に寄与しているものと考えられる(in vitro)。

18.2 統合失調症の諸症状に関連するin vivo試験系における作用

ルラシドンは陽性症状の指標と考えられているラットメタンフェタミン誘発運動過多を抑制し8) 、認知機能障害の指標と考えられているスコポラミン/MK-801誘発性の受動的回避試験におけるステップスルー潜時の短縮を改善した27) 。また、ラットマイクロダイアリシスにおいて、認知機能や陰性症状に対する改善作用及び抗うつ作用発現との関連が示唆されている前頭前皮質でのドパミン遊離量を増加させた28)

18.3 うつ・不安症状に関連するin vivo試験系における作用

ルラシドンはラット恐怖条件付けすくみ行動評価、ラットフォーゲル型水飲みコンフリクト試験、ラット電撃プローブ埋め隠し試験及びラット社会相互行動評価でうつ・不安症状の指標とされる行動変化を抑制又は改善した29)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

ルラシドン塩酸塩(Lurasidone Hydrochloride)

化学名

(3aR,4S,7R,7aS)-2-{(1R,2R)-2-[4-(1,2-Benzisothiazol-3-yl)piperazin-1-ylmethyl]cyclohexylmethyl}hexahydro-4,7-methano-2H-isoindole-1,3-dione hydrochloride

分子式

C28H36N4O2S・HCl

分子量

529.14

性状

白色~淡黄色の粉末である。メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水及びアセトンに極めて溶けにくく、トルエンにほとんど溶けない。

化学構造式

融点

約253℃(分解)

分配係数

1-オクタノール/水系において水層にほとんど分配されない。

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

  • 〈ラツーダ錠20mg〉

    100錠[10錠(PTP)×10]
    500錠[瓶、バラ]

  • 〈ラツーダ錠40mg〉

    100錠[10錠(PTP)×10]
    500錠[10錠(PTP)×50]
    500錠[瓶、バラ]

  • 〈ラツーダ錠60mg〉

    100錠[10錠(PTP)×10]
    500錠[10錠(PTP)×50]
    500錠[瓶、バラ]

  • 〈ラツーダ錠80mg〉

    100錠[10錠(PTP)×10]
    500錠[10錠(PTP)×50]
    500錠[瓶、バラ]

23. 主要文献

1) 大日本住友製薬資料:食事の影響試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.20)

2) 大日本住友製薬資料:統合失調症患者PK試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.13)

3) 大日本住友製薬資料:母集団薬物動態解析(2020年3月25日承認、CTD 2.7.2.3.1.6)

4) 大日本住友製薬資料:海外マスバランス試験(1)(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.11)

5) 大日本住友製薬資料:海外マスバランス試験(2)(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.12)

6) 大日本住友製薬資料:ヒト血清たん白結合の検討(2020年3月25日承認、CTD 2.6.4.4.2.1)

7) 大日本住友製薬資料:ヒト代謝CYPの同定(2020年3月25日承認、CTD 2.6.4.5.4)

8) 大日本住友製薬資料:ドパミン、セロトニン、ノルアドレナリン受容体に対するルラシドン及びその代謝物の作用(2020年3月25日承認、CTD 2.6.2.2.1)

9) 大日本住友製薬資料:単回投与試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.6)

10) 大日本住友製薬資料:海外腎障害患者PK試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.18)

11) 大日本住友製薬資料:海外肝障害患者PK試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.17)

12) 大日本住友製薬資料:高齢者PK試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.16)

13) 大日本住友製薬資料:海外ケトコナゾールとの薬物相互作用試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.23)

14) 大日本住友製薬資料:海外ジルチアゼムとの薬物相互作用試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.29)

15) 大日本住友製薬資料:海外リファンピシンとの薬物相互作用試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.27)

16) 大日本住友製薬資料:海外リチウムとの薬物相互作用試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.25)

17) 大日本住友製薬資料:ヒトCYP誘導の検討(2020年3月25日承認、CTD 2.6.4.5.5.2)

18) 大日本住友製薬資料:ヒトCYP阻害の検討(2020年3月25日承認、CTD 2.6.4.5.6)

19) 大日本住友製薬資料:各種トランスポーター親和性の検討(1)(2020年3月25日承認、CTD 2.6.4.7.2.1)

20) 大日本住友製薬資料:各種トランスポーター親和性の検討(2)(2020年3月25日承認、CTD 2.6.4.7.2.2)

21) 大日本住友製薬資料:各種トランスポーター阻害の検討(2020年3月25日承認、CTD 2.6.4.7.2.3)

22) 大日本住友製薬資料:統合失調症患者を対象としたプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.33)

23) 大日本住友製薬資料:急性増悪期の統合失調症患者を対象としたプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.59)

24) 大日本住友製薬資料:統合失調症患者を対象とした非盲検継続投与試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.60)

25) 大日本住友製薬資料:双極I型障害の大うつ病エピソードの患者を対象としたプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.65)

26) 大日本住友製薬資料:海外T-QT試験(2020年3月25日承認、CTD 2.7.6.31)

27) 大日本住友製薬資料:認知機能に対する作用(2020年3月25日承認、CTD 2.6.2.2.2)

28) 大日本住友製薬資料:その他のin vivo作用(2020年3月25日承認、CTD 2.6.2.2.4)

29) 大日本住友製薬資料:抗うつ・抗不安作用(2020年3月25日承認、CTD 2.6.2.2.3)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

大日本住友製薬株式会社

〒541-0045 大阪市中央区道修町2-6-8

くすり情報センター
TEL 0120-034-389

25. 保険給付上の注意

本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第97号(平成20年3月19日付)に基づき、令和3年5月末日まで、投薬は1回14日分を限度とされている。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

大日本住友製薬株式会社

大阪市中央区道修町2-6-8